PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.36

新認定PETボトル再利用品のご紹介

技術検討委員会「中国PETボトルリサイクル技術調査」報告

 PETボトルリサイクル推進協議会は、使用済み回収PETボトルの主要な輸出先である中国のリサイクル状況を継続的に調査しています。2017年9月4日から実施した今回の調査は、中国が12月末で生活系固体廃棄物の輸入を停止する旨を7月にWTOに通告したことを受け、日本から輸入した回収PETボトルを原料とする再生事業者や事業者団体が、この問題をどう捉えているか、日本の回収PETボトルのフローにどのような影響が出るのかを把握することが大きな課題となりました。
 面談を行った事業者はいずれも、2018年1月からの回収PETボトル輸入停止は不可避として、それぞれの立場ですでに対応準備を始めていました。例を挙げると、再生原料使用にこだわるA社は、山東省全域で独自のボトル回収システムを構築し、国内の使用済みPETボトルを安定的にかつ低コストで収集すべく取り組んでいました。また、日本の回収PETボトルの利用最大手のB社は、日本で協力会社と組んで回収・洗浄・ペレット化まで行う工場を建設し、製品ペレットを中国に輸入して繊維用原料とする計画で、すでに動き始めているとのことでした。
 政府とコネクションを持つ業界団体・再生化繊委員会の秘書長は、輸入停止による再生PET原料の不足から一時的に再生化学繊維の生産が低下するが、政府の環境対策に適応できない中小の会社が退場し、環境対応力のある大手が拡大することで、この産業がより健全で強くなっていく環境になり、業界にとって良いこととの認識を示していました。
 この記事を執筆している2018年4月の段階で、中国の輸入停止は予定通り実施され、前述の大手某社の日本でのペレット化計画の推進など、具体的な取り組みが行われています。一方では、中国に代わってタイやベトナム、マレーシアなどの東南アジア向けのPETボトル再生フレーク輸出が急増していますが、従来の中国向け約25万トン/年の輸出量を補えるほどの力強さはまだありません。今後の動きを引き続き注視していく必要があります。
 先進技術調査を目的に聴講した第13回中国国際リサイクルポリエステル会議においては、設備技術プレゼンは明確にFtoF(ファイバーtoファイバー)に主力が移っていました。BtoB技術はすでに一定レベルに到達し、更なるイノベーションは難しいと感じました。
 また、今回6年ぶりに台湾を訪問し、PETボトルリサイクルの実情を調査しました。台湾は人口が約2,300万人で、使用済みPETボトルの多面的な回収ルートから指定再生事業者までを行政が包括的に管理しています。その結果、回収率は97%の高さを誇っており、日本と同様に国民の勤勉性を感じたところです。
 今後も、国内外のPETボトルリサイクル関連の情報を収集し、協議会活動に役立てていく予定です。

第13回中国国際リサイクルポリエステル会議 風景

第13回中国国際リサイクルポリエステル会議 風景

台湾・行政院環境保護署資源回収管理基金管理会のみなさんと

台湾・行政院環境保護署資源回収管理基金管理会のみなさんと

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