PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.36

会員企業訪問

日本茶飲料「お~いお茶」電子レンジ対応
ホットPET2種と季節限定の桜パッケージ

パートナーとの協働により
環境配慮を推進

株式会社伊藤園

 「お~いお茶」ブランドで広く知られる、株式会社伊藤園。1966年に緑茶のリーフを扱う会社として設立され、1980年に世界初の缶入りウーロン茶の発売で飲料市場へ参入しました。飲料メーカーとしては後発でしたが、“世界初・業界初”のユニークな商品開発で新たな市場を切り拓き、30年以上にわたり緑茶飲料のシェア1位を維持してきました。「自然が好きです。」を企業メッセージとして、環境活動にも継続的に取り組んでいます。

世界初のPETボトル入り緑茶を開発

 緑茶を飲料化したい思いは早くからあったものの、酸化しやすく非常に繊細な性質のため、商品開発は困難を極めました。約10年ものあいだ研究を重ね、世界初の缶入り緑茶飲料「缶入り煎茶」を発売したのは1985年のことです。当時の市場では甘い飲み物が主流で、お金を出して緑茶を飲む習慣がなく、「缶入り煎茶」はすぐには浸透しませんでした。しかし1989年に商品名を「お~いお茶」へ変えたことが一つのきっかけとなり、緑茶飲料は広く消費者に受け入れられていきます。緑茶が“急須でいれて飲むもの”から“いつでもどこでも飲めるもの”になったことは、その後の日本の食文化にも大きな影響を与えました。
 缶入り製品はパーソナルユースに限定されるため、ファミリーユースの容器として選んだのが大容量PETボトルです。透明な容器ではお茶の澱が目立つことから、味と香りを損なわずに澱を除去する製法を開発し、1990年に世界初のPETボトル入り緑茶飲料(1.5L)を発売しました。以降は500mlをはじめ多様なサイズを展開しており、現在、同社の飲料製品の約7割がPETボトルで販売されています。2000年には業界初のホット対応PETボトル製品を発売、2017年には肩部分の形状によって光から中身の鮮度を守る新型PETボトルを採用するなど、革新的な取り組みを続けています。

「NSシステム」導入でボトルの大幅な軽量化を実現

 伊藤園では、お茶の味の決め手となる茶葉の火入れ加工を自社工場で行い、抽出や充填などの工程は各地の飲料充填事業者に委託しています。委託先の工場は全国に50箇所以上。「私どもは事業者さんと運命共同体なので、とにかくいい商品を開発して、少しでも皆さんに作る量を増やしていただく。そのためにも環境面はおろそかにできません」と高橋氏。
 PETボトル緑茶飲料の製造は、2010年に東洋製罐(株)と共同開発した充填方式「NSシステム※」のラインを中心に行っています。従来の方式では、高温で充填を行うためボトル本体に一定の耐熱性をもたせる必要があり、また常温で充填する場合には、殺菌剤を使用して多量の水で洗い流す必要がありました。一方NSシステムでは、殺菌処理に温水を使用して常温で充填を行うため、ボトルに要求される耐熱性が低く、殺菌剤も使用しません。NSシステムの導入により、従来比で約30%軽量化した環境配慮型PETボトルの採用が可能となり、原材料と配送エネルギーコストを大幅に削減できました。
 「今後も容器メーカー様や包材メーカー様から技術開発・イノベーションの提供を受けながら、環境配慮設計を推進していきたいと考えています。特に、軽量化は止めることなく進めていきたい」と高橋氏です。

“茶畑から茶殻まで”環境への配慮を

 伊藤園の環境活動の特色は、本業を通じて継続的にCSRに取り組んでいること。さらに、パートナーと協働しながら、バリューチェーンのあらゆる場面で“共有価値の創造(CSV)”を実践していることです。
 高品質な茶葉の安定調達を目的とする「茶産地育成事業」では、契約栽培に加え、地元の事業者や自治体と協力して耕作放棄地などに茶畑をつくる「新産地事業」を展開しています。環境保全型農業を推進するとともに、地域の活性化にも貢献しています。
 また、緑茶飲料の製造工程で発生する茶殻を有効活用するため、独自の「茶殻リサイクルシステム」を開発しました。日用品などの原料に茶殻を配合することで、抗菌・消臭効果などの付加価値が生まれ、資源の節約とCO2の排出抑制になります。これまでに各分野の企業と共同開発してきた茶殻リサイクル製品は約100種類。「お~いお茶」のPETボトル用ダンボールの一部にも使われています。

(2018年2月16日取材)

※“NS”は“Non-Sterilant(殺菌剤を使用しない)”の略
(左3番目より)高橋氏、古川氏、鈴木氏、(左右)RING編集委員

(左3番目より)高橋氏、古川氏、鈴木氏、(左右)RING編集委員

株式会社伊藤園 飲料部 部長
高橋 栄道
広報部広報室 室長
古川 正昭
鈴木 將太

株式会社伊藤園

本 社:東京都渋谷区本町3丁目47番10号
設 立:1966年
従業員:5,331名[2017年10月時点]

TEL 03-5371-7111(代表)

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