PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.36

再商品化事業者紹介

PETボトルからトレーへ
年間5万トンの再生PET原料生産能力

株式会社エフピコ

(2017年11月28日取材)

 株式会社エフピコは、カラートレーや電子レンジ対応容器などを世に送り出してきた、食品トレーの最大手メーカーです。回収した使用済みトレーから再びトレーを作る、循環型リサイクル「トレーtoトレー」を世界で初めて開始した環境先進企業としても知られています。使用済みPETボトルのリサイクル「ボトルtoトレー」も拡大中で、2017年11月には新たに関東エコペット工場が稼働を開始し、国内最大規模のPETボトルリサイクル企業となりました。こうしたリサイクルの取り組みについて、代表取締役社長・佐藤守正氏にお話を伺いました。

リサイクルを続けてきたからこそ今がある

 エフピコがPSP(発泡スチロール)トレーのリサイクルを始めたのは、1990年のこと。回収拠点6店舗からのスタートでした。採算は合いませんでしたが、使い捨てのトレーが批判されノートレー運動が起こることを危惧していた創業者の小松安弘氏は、歯を食いしばって続けたそうです。
 回収トレーをリサイクルした「エコトレー」は、業界初のエコマーク認定商品として1992年に発売されました。現在、回収拠点は約9,200店舗に増え、消費者の環境意識の高まりもあって、エコトレーは同社の主力商品の一つになっています。「PSPのリサイクルの上に今のエフピコがある」と佐藤社長。

「ボトルtoトレー」のリサイクルを確立

(左から)佐藤社長、鹿子木氏、冨樫氏

(左から)佐藤社長、鹿子木氏、冨樫氏

 トレーの用途が広がり透明な蓋のついた容器が増えたことなどから、2008年には透明容器のリサイクルを開始。当時すでに欧米で始まっていたボトルtoボトルの設備を導入し、回収したPETトレーや蓋材のリサイクル、さらにPETボトルのリサイクルにも着手しました。
トレーもPETボトルも単一素材の容器で、PET to PETのリサイクルができる点は共通ですが、ボトルの再商品化には苦労したといいます。「事業系のボトルから始めたので、一番大きかったのは品質の問題です」。再生原料の純度を上げるため国内外の技術を組み合わせ、約4年をかけて、ボトルから再生トレーを作るリサイクルを確立しました。 再生PET原料で作る「エコAPET容器」は、再生原料(R)とバージン原料(V)のVRV構造になっています。使用済みPETボトルから作られた原料および製品の製造時に出たロスを使用しており、バージンPET容器と比べると、30%のCO2削減効果があります。

関東エコペット工場の稼働で、年間5万トンの再生PET原料生産へ

関東エコペット工場 外観

関東エコペット工場 外観

 2010年より稼働している中部PETリサイクル工場では、店頭回収した容器と事業系のボトルに加え、2014年度からは指定法人の登録事業者として、市町村で回収されたPETボトルの再商品化を行っています。同年、西日本ペットボトルリサイクル(株)がグループ会社となり、エフピコで使用する再生PET原料の生産能力は全体で年間約3万トンになりました。
 そして2017年11月、新たなPETボトルリサイクルの拠点として、関東エコペット工場が稼働を開始しました。年間約2万トンの再生PET原料生産能力をもち、使用済みPETボトルの再商品化、シートの押出、トレーの成形を一貫して行う最新鋭の工場です。現在は店頭回収・事業系のボトルをリサイクルしており、指定法人ルートの取り扱いに向けた準備も進めています。
 中部PETリサイクル工場で得た教訓を生かし、異物・残留物除去の精度は一段と高くなっています。再商品化の前処理工程では、金属除去、ラベル除去、光学選別、手選別を経て、ボトルを粉砕。洗浄工程でドライクリーニング、風力選別、水洗浄、アルカリ洗浄、2度の比重選別などを行ったのち、揮発留分を除去しペレットを製造します。

消費者・取引先への情報発信がもたらすエコな好循環

 エフピコでは、すべてのリサイクル施設を“見せる工場”にしています。関東エコペット工場にもガラス張りの見学コースが整備されており、PETボトルの再商品化~再生トレー製造の工程を見ることができます。グループの見学者は全国で年間2万人以上、通算約54万人以上。多くの方にリサイクルについて知ってもらうきっかけとなっています。さらに、イベントへの参加、回収拠点店舗に掲示してもらうポスターの作成など、「“トレーとボトルはリサイクルできる”という啓発活動は相当やっているつもりです」と佐藤社長。消費者の理解が深まることにより、同じ値段であればエコ製品が選ばれるという好循環も生まれています。

代表取締役社長
佐藤 守正
環境対策室ジェネラルマネージャー
冨樫 英治
顧問
鹿子木 公春

株式会社エフピコ

本 社:広島県福山市
設 立:1962年
従業員:813名(グループ: 4,529名)
[2018年3月31日時点]

関東エコペット工場
茨城県結城郡八千代町

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