PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.35

再生樹脂利用事業者紹介

再生PETを使用した
「CHUO APET GREEN」シリーズに
PETボトルリサイクル推奨マークを取得

中央化学株式会社

プラスチック食品容器のパイオニア

 1957年の創業以来、60年にわたり日本の食文化の発展を支えてきた、中央化学株式会社。たれびん(弁当についているポリエチレン製の醤油びん)やPSP(ポリスチレンペーパー)トレイの製造販売をいち早く手掛け、さまざまなプラスチック素材・製品を開発してきました。
 また、1990年にはスーパーなどの店頭で使用済みトレイの自主回収を開始、1993年にはマテリアルリサイクルによる「エコベンチ」の製造を始めるなど、環境活動にも取り組み続けています。
 同社は2016年、再生PETを使用した環境配慮型製品「CHUOAPET GREEN(以下C-APG)」シリーズを発売しました。素材選択の経緯や環境活動について、代表取締役社長・水野和也氏にお話を伺いました。

PETはリサイクルに最も適した樹脂

前列左より水野社長、中村さん 後列左、三膳さん、石川さん

前列左より水野社長、中村さん
後列左、三膳さん、石川さん

 2013年4月に、親会社の三菱商事(株)執行役員より転籍した水野氏。海外経験で培った視野の広さと合成樹脂分野の知識から、社長就任後すぐにPET素材の重要性に気付いたそうです。
 「PETの需給バランスやコストは、ポリエステル繊維が引っ張っている。他の樹脂と比べるとユニークな存在です」と水野氏。さらに、「PETは現状リサイクルに最も適した樹脂。PET自体のリサイクルアビリティだけではなく、PET 単体で飲料ボトルであるということが、回収や、環境に対するイメージにおいて非常に大事なポイント」と指摘します。PETのリサイクルは、欧米をはじめ、深刻なごみ問題を抱える中国や東南アジアなど、世界中で拡大している状況です。
 一方、「国内でPETの食品容器を最も早く事業化したメーカーの一つが中央化学なんです。約30年前で、まだ用途も多くなかったし、現在のようなPETの特殊性、ダイナミズムもなかった」。そのため別の素材に注力してきましたが、その間にPETを取り巻く状況は大きく変化。「この15年~20年で、容器市場で一番伸びた素材はPETです。結果として当社はその波に乗り遅れてしまった。ですがPETにはグローバルな事情もあるし、環境というキーワードからすると取り組まなければならない」。

再生PET製品の開発と展開

 2013年当時、PETトレイ業界では再生PET 食品容器の安全性を担保するため、FDA(アメリカ食品医薬品局)に準拠した新たな自主規制基準を制定する動きがありました。そのため中央化学では、基準作りに参画すると同時に製品開発に着手。新たな基準の認定第一号として、C-APGを世に送り出しました。
 C-APGは、表層にバージン原料(V)、中間層にFDA基準適合の再生原料(R)を用いた2種3層(VRV)構造で、再生原料の割合は全体の90%です。「アメリカではVRV 構造ではなく単層で再生原料100%が当たり前ですが、日本の業界の自主規制基準はより安全性に配慮しVRVになっています。ただ(リサイクルでは)ボトルの方が先に進んでいますから、そちらで安全性が認知されれば、トレイも再生原料100%になっていくのではないでしょうか」。
 現在バージンのPETや他の素材で作っている製品についても、「基本的には(耐熱性を求められない用途では)環境素材であるC-APGを使っていこうと考えています。替えられるものから徐々に替え始めていますが、まだこれからですね」。今後の展開のためには、再生素材に対するユーザーの理解を得ることも重要となります。

環境活動で重要なのは消費者へ伝えること

 生活を支える身近なツールである一方、使用後はすぐごみになるという印象も強い食品容器。だからこそ、メーカーとして店頭回収や再生素材の使用に積極的に取り組むこと、消費者とのコミュニケーションを通じてそれを伝えていくことが大切なのだといいます。
 そのためには環境ラベルの活用が効果的と考え、C-APGではエコマークとPETボトルリサイクル推奨マークを取得しました。製品に刻印したり、パンフレットや出荷時のダンボールなどに表示することで、環境への取り組みをPRしています。
 また、埼玉県の「彩の国工場※1」に指定されている騎西工場では、一般の見学者を受け入れ、リサイクルをはじめとした環境活動についても詳しく紹介。埼玉県内の小中学校での出前授業、地域の環境フェアへの協力なども行っています。
 こうした活動が評価され、「エコマークアワード2016※2」では銀賞を受賞しました。
 社会構造やライフスタイルの変化により食品容器のニーズが高まる中、同社の進める環境配慮型商品の展開やリサイクルの取り組みは、ますます重要性を増していきます。

中央化学株式会社 代表取締役社長
水野 和也
管理本部経営企画部 部長代行 兼 広報・IR課長
三膳 一志
マーケティング&セールス本部
リサイクル事業推進室長 兼 事業企画室
石川 昌宏
経営企画部 広報IR課
中村 早紀
騎西工場 生産管理課長
石塚 晃

中央化学株式会社

本 店:埼玉県鴻巣市宮地3丁目5番1号
TEL. 048-542-2511

設 立:1961年(創業1957年)

従業員:2,155名(連結)[2016年9月30日時点]

騎西工場

埼玉県加須市鴻茎310番地
TEL. 0480-73-2117

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