PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.35

再商品化事業者紹介

選別工程のジグザグセパレーター

選別工程のジグザグセパレーター

廃棄物の回収から最終処分までの
ワンストップ・リサイクル企業グループ

株式会社青南商事

 株式会社青南商事は、弘前市で鉄スクラップの回収を行っていた安東商会を前身とし、1972年に設立されました。金属リサイクル事業を軸に、自動車リサイクル事業で大きく成長し、東北各地に拠点を展開。時代の変化と地域の要望に応じてリサイクルの幅を広げ、現在は青南商事を中心としたグループ全体で、廃棄物の回収から最終処分までの全てを完結できる、ワンストップ・リサイクル事業を行っています。

安定した品質のフレークを提供

 容器包装のリサイクル事業を始めたきっかけは2002年、青森市で排出された缶・びん・PETボトルの中間処理を行う民設民営の施設「ECOプラザ青森」を開設したこと。より総合的なリサイクルをと考え、2006年にプラスチックリサイクル工場を新設し、PETボトル再商品化事業を開始。2008年には同工場でプラスチック容器包装の再商品化事業を開始しました。
 PETボトルは主に東北と北関東の自治体から落札しています。「今は市民にもリサイクルの意識がかなり浸透していますので、きれいなベールばかりです。ただ、当社のプラントで特徴的なのは、事業系などの比較的品質が悪いと言われるベールについても遜色なく再商品化できる点。販売先にも品質には満足していただいています」と安東氏。2016年度のPETボトル取扱量は約13,000トン/年。工場の処理能力は年間16,000トンのため「まだ余力はありますが、品質管理の面からは現在の取扱量でちょうどいいと感じています」。

残渣は工場を動かす電力としてリサイクル

 再商品化の過程で発生した残渣は、自動車のシュレッダーダストなどと一緒に隣接するグループ会社、青森リニューアブル・エナジー・リサイクリング(株)(以下青森RER)のサーマルリサイクルシステムで処理しています。「青森RERは、当社で発生する廃棄物を全量処理し、発電で工場を操業するという考え方で作った施設です。マテリアルリサイクルで市民の手に触れるものを作りたいという思いはありますが、残渣についてはエネルギーに変えて、工場を動かす電力としてリサイクルしているということになります」。同施設では、青森市の可燃ごみや周辺自治体の汚泥の処理も受託しており、余剰電力は売電するなど、地域貢献も果たしています。

さらに高い品質を目指しながら新しい挑戦も

右より安東さん、熊谷さん

右より安東さん、熊谷さん

 再商品化事業を始めるときに、海外製のプラントを丸ごと導入しました。「海外のPETボトルに合わせて作られているので、紙ラベルとプラスチックラベルの違いなどもあり、日本のPETボトルを処理してみるとうまくいかない部分もありました。一部の機械を変更し、新しい選別機を導入するなど、改良を重ねて今に至っています」。そういったプラントの改良やメンテナンスを、グループ会社の(株)青南エンジニアで行うことができるのも、強みのひとつです。
 現在、製造したPETフレークの用途は卵パックなどのシート製品が中心ですが、「今以上にさまざまな用途で使っていただきたいので、今後はさらにレベルの高い加工工程にもチャレンジしたいと思っています。既存のプラントもまだまだ良くなる可能性はあるので、そちらも引き続き取り組んでいきます」と安東氏。

地域社会を支えよりよくしていくために

楽天イーグルスの協賛試合での取り組み

楽天イーグルスの協賛試合での取り組み

 東日本大震災の際には、発生した大量の廃棄物の処理を通じて東北の復興を支えました。その経験から、地域との関わりを大切に、復興支援事業のほかさまざまな社会活動にも取り組んでいます。
 環境教育活動として工場見学を広く受け入れており、特にECOプラザ青森には、市内の小学生をはじめ多くの見学者が訪れます。再商品化プラントは大人数で見学してもらうことが難しいため、処理工程を映像で見られるようカメラを設置し、再商品化フローや製品を展示するスペースを整えて対応しています。
 スポーツ支援活動にも力を入れており、スポンサーを務める楽天イーグルスの協賛試合ではPET ボトル再生品のノベルティ配布や、PETフレークなどのサンプル展示も行いました。社会をよりよくしていくために必要不可欠なリサイクルの概念、その大切さを広く知ってもらうため、取り組みを続けています。

株式会社青南商事 専務取締役
安東 元卓
経営企画部
熊谷 美帆

株式会社青南商事

本 社:青森県弘前市
設 立:1972年(創業1955年)
従業員:600名(連結)

青森支店 プラスチックリサイクル工場
青森県青森市大字戸門字山部143-17
TEL. 017-763-1740

TOP