PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.35

環境学習の現場から

倉敷市リサイクル推進センター(クルクルセンター)

 倉敷市リサイクル推進センターは、リサイクルを啓発する施設として2004 年に開館しました。愛称の「クルクルセンター」は公募により決定したもの。館内でリサイクルに関する展示やリユースの仲介などを行っているほか、併設するプラントでは廃食用油をBDF(バイオディーゼル燃料)にリサイクルしています。
 体験学習や出前講座では、倉敷市の掲げる5R「Reduce(発生抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再生利用)、Refuse(購入抑制)、Regenerate(再生品の使用)」について、DVDや実際の体験を通じて学んでもらいます。月3回ほど開講している一般向けのリサイクル体験講座も、環境やリサイクルに興味を持ってもらうことをテーマに内容を考えています。ガラスや紙パック、PETボトルなどの使用済み容器や、自然の草木、海の漂流物などを利用したものづくりは、定員の数倍の応募がくるほどの人気です。
 市では2015年度に、小学4年生向けの新たなごみ減量啓発冊子を制作しました。学校では4~5月にごみ・資源についての授業を行い、6月頃に清掃工場などを見学します。その後も継続して学んでもらえるよう、希望校へ6月中旬頃に冊子を配布しています。
 一緒に配る「ごみ出しチャレンジシート」は、夏休みに分別やごみ出しを実践しその結果を提出してもらうというもの。実際に取り組んでもらうにはどうしたらいいのか、教育委員会と協議を重ねて制作したそうです。2015年度、2016年度は約4,000部を配布し、1,000名以上の提出がありました。子供の取り組みをきっかけに家庭全体の意識を変えることも狙いで、毎年4,000世帯に取り組んでもらえれば、10年間で4万世帯。継続的な啓発活動として実施していきたいと考えています。

株式会社ベネッセコーポレーション

 株式会社ベネッセコーポレーションは、教育分野を本業とする企業ならではの環境方針として、「環境教育の推進」を掲げています。「環境に配慮できる人材を育てることもベネッセの環境活動のひとつです」と荒木氏。
 環境教育は学習指導要領に則り、主に小学校中学年~中学校の理科・社会の教科学習において展開しています。紙媒体やタブレットを用いたデジタル教材の中で、3Rについても写真や動画を用いて分かりやすく紹介しています。さらに、幼児向けのリサイクルの取り組み、小学生の自由研究コンクールの環境部門、中高生がWEBで環境問題について議論するプロジェクトなど、子どもの発達段階にあわせて学びの機会を提供。こうした体験を通じて理解と行動の間にある壁をなくし、実際に環境配慮行動をしていける人材を増やすことを目指しています。
 ベネッセでは、さまざまな教材でPETボトルのリサイクルを取りあげています。PETボトルは子どもたちにとって身近な存在であり、リサイクルについて学ぶと自分自身ですぐ行動に移すことができるため、環境教育に適したテーマであるといえます。また、「いまはPETボトルの再生品が多様化しており、(紹介すると)子どもたちは『こんなものまでPETボトルでできているんだ』と驚いています」。子どもたちには再生品に対するネガティブイメージはなく、「世代によって『再生品』のイメージが違いますよね。いまは価値観の変わり目なのではないでしょうか」。

株式会社ベネッセコーポレーション
総務部環境推進課 課長
荒木恵理子

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