PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.35

資源循環型社会形成を目指して

岡山県倉敷市

(2016年10月取材)

 岡山県の南部、瀬戸内海沿岸に位置する倉敷市は、人口約48.4万人。観光や工業の町として知られています。
 「環境最先端都市」を目指し、一般廃棄物処理基本計画「くらしキック20~ごみ減量への挑戦~」を策定。2024年度までに2007年度比で20%のごみ減量を目標に、独自の施策を展開しています。全国的にもめずらしい「リサイクル」のついた局名を掲げる「環境リサイクル局」では、リサイクルにも力を入れて取り組んでいます。

PETボトルの分別排出は非常に高いレベル

 1999年よりPETボトルの拠点回収を開始し、市内のスーパー、コンビニなどの協力店舗106箇所に回収ボックスを設置しています。2009年からは、市内約5,400箇所でのステーション収集も開始しました。月1回、透明または半透明の袋に入れて排出してもらい、PETボトル専用のパッカー車で収集を行っています。全体の回収量は年間約500~600トンで、2015年度は拠点が約330トン、ステーションが約200トンでした。独自に回収を行う店舗が増えてきており、拠点からの回収量はやや減少傾向にあります。
 回収したPETボトルは民間の倉敷リサイクルセンターで処理し、全量を日本容器包装リサイクル協会に引き渡しています。品質調査開始以降、総合判定は毎年Aランク。2016年度は全項目でA評価を受けました。「PETボトルの分別排出の定着率はかなり高く、ステーションでは本当にきれいに出してくださっています」と原田氏。「広報誌やチラシなどでの啓発は常に行っています。品質の良いPETボトルは他の資源と比べて高く売却できることをお伝えし、ご協力をお願いしています」。拠点では場所によって状況が異なり、回収ボックスにごみを捨てられてしまうケースが最大の問題点となっていますが、回収ボックスを中身の見えないタイプから透明なものに変更したことで、ごみの混入は減ってきました。
 また、PETボトルのキャップやラベルをはじめとしたプラスチック製容器包装は、燃やせるごみとして収集しています。PFI方式で運営(民設民営で倉敷市も出資)する資源循環型廃棄物処理施設で一括処理し、容器包装リサイクル法で認められた「ガス化手法」により、プラスチックを燃料ガスとしてリサイクルすることが可能なためです。これにより市民の負担とコストを軽減するとともに、高いリサイクル率も実現しています(2014年度のリサイクル率は48.5%で、人口10-50万人の市町村において第2位<環境省「一般廃棄物処理実態調査結果」より>)。

減量目標の「見える化」事業をスタート

ごみステーションのポスター

ごみステーションのポスター

 家庭ごみの有料化を行っていない倉敷市では、ごみ排出量が年次目標に追いつかない状況が続いていました。そこで新たに発案したのが「ごみステーションでの目標見える化事業」。ステーションに吊り下げ式の秤を設置し、市民が燃やせるごみを出すとき実際に重さを量ってもらいます。これまで具体性のなかった「1人1日あたりの排出量」とその目標値を「見える化」し、より身近に感じてもらおうという取り組みです。さらに、自分の家のごみが平均や目標と比べて多いのか少ないのか認識してもらうことで、「減量の必要性を感じながらまだ行動していない」中間層にも、自発的な行動を促します。
 2016年度にモデル地区で事業を開始するにあたり、市内すべての地区で説明会を実施。倉敷市のごみの現状、有価で売却できるPETボトルや雑紙を燃やせるごみに混ぜないで欲しいこと、生ごみの水切りを徹底して欲しいことなどを説明しました。「皆さん非常に前向きに取り組んでくださっており、(モデル地区の)ステーションを見ていると、PETボトルや雑紙の混入は明らかに減ってきています」と宮川氏。効果は他の地区にも波及し、市全体の排出量にも成果が表れ始めています。
 モデル期間の終了後には、記録用紙とアンケートを回収して調査を行います。「ごみステーションは市民の縮図。環境意識の高い層、中間層、無関心層の割合を調べて、どのような施策が効果的なのかを割り出します。また、どれだけ減量効果があったのかを調べることで、倉敷市の『ごみ減量の潜在能力』が分かります」と内海氏。「有料化に頼らずとも目標を達成してこそ環境最先端都市」という強い思いを持って、取り組みを進めています。

倉敷市 環境リサイクル局
リサイクル推進部一般廃棄物対策課
          同課 リサイクル推進係 係長
原田 隆行
同係
生田 翔人
主幹 兼 企画係 係長
宮川 稔浩
同係 副主任
内海 将臣
同課 児島環境センター(クルクルセンター)
所長
藤原 稔
協同組合倉敷環境システム 事務局
係長
西島 新吾
ごみステーションでの目標見える化事業

ごみステーションでの目標見える化事業

右より原田さん、生田さん、宮川さん、内海さん

右より原田さん、生田さん、宮川さん、内海さん

藤原さん

藤原さん

西島さん

西島さん

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