PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.35

資源循環型社会形成を目指して

新潟県新潟市

(2016年10月取材)

 本州の日本海側最大の都市である新潟市。2005年に近隣13市町村と合併し、2007年4月に政令指定都市となりました。現在の人口は約80万人で、新潟県全体の人口のおよそ1/3を占めています。
 「めざせ3Rシティにいがた」を掲げてごみ減量・リサイクル推進に取り組んでおり、2014年度のリサイクル率は全国平均の20.6%を大きく上回る27.8%。前年に引き続き、人口50万人以上の市町村において第2位となりました。(環境省「一般廃棄物処理実態調査結果」より)

新ごみ減量制度でPETボトル回収量は大きく増加

 合併直後は地域ごとに異なる分別ルールが混在していましたが、2008年6月より10種13分別と指定ごみ袋の有料化を柱とする「新潟市新ごみ減量制度」がスタートしました。PETボトルはごみ集積場で月2回の単独収集を行うほか、市内約200箇所のスーパーや公共施設などで拠点回収を実施しています。
 新ごみ減量制度の開始前と比較するとPETボトルの回収量は2倍以上に増加しており、2015年度は集積場からの収集量が1,189トン、回収拠点からの回収量が745トンとなっています。
 集積場から収集されたPETボトルは、一部地域のものを除き、市内3箇所の民間施設で処理して全量を日本容器包装リサイクル協会に引き渡しています。ベールの品質調査ではAランクの評価を受けていますが、課題もあります。「拠点回収はリサイクル意識の高い方が出すため分別されたPETボトルがほとんどですが、集積場に出された中には、キャップやラベルがついたままのものや洗っていないもの、PETボトル以外が混 入している場合もあります」と灰野氏。ただし例外もあり、「PETボトルは透明か半透明のポリ袋に入れて出してもらうのですが、一部地域ではコンテナやネットで回収を行っています。そういった、集積場にある容器にPETボトルだけを入れるところでは、比較的きれいに出されていると実感しています」。

さまざまな場面で繰り返し啓発活動を実施

ごみ減量推進キャラクター「サイチョ」

ごみ減量推進
キャラクター
「サイチョ」

 新ごみ減量制度の開始時に誕生したのが、ごみ減量推進キャラクターの「サイチョ」とその家族たち。「リサイクル」に「再(サイ)挑戦」が名前の由来で、全戸配布の「ごみ分別百科事典」や、年5回発行の資源とごみの情報紙「サイチョプレス」など、さまざまなツールで資源の分別・ごみの減量を呼び掛ける際に活躍しています。また、2015年3月末から公開している「サイチョのごみ分別アプリ」も好評です。

 毎年4月には、大学や専門学校の新入学生ガイダンスの中で、市の分別ルールについて説明する時間を設けてもらい、学生向け「ごみ出しガイド」を配布しています。「学生の方や一人暮らしのアパートでは、分別が少し不十分になってしまう傾向があります」と渡辺氏。さらに、「市外から転入してきた方や、一人暮らしを始めた方だけを対象にするのではなく、実家から通う学生も含めて、分別について見直して取り組んでもらうための説明会ということで実施しています」。
 小中学生には環境副読本でごみと資源について学んでもらうほか、小学4年生には新潟市のごみの状況や3Rについて説明する冊子も配布しており、清掃センターの見学やごみ収集車で出向いてのごみ投げ入れ体験、分別ルールを学ぶ授業なども実施しています。また要望があれば、未就学児や小学校低学年にはDVDやゲームなどで分別ルールを楽しく学んでもらう授業を、大人に対しても「ごみダイエット読本」などの各種パンフレットを活用して、ごみと資源をテーマとした講座を随時行っています。
 2015年度には、環境や健康に関するイベントや取り組みに参加するとポイントが発行され、市の共通商品券やバス乗車ポイントに交換できる「にいがた未来ポイント」の制度もスタートしました。
 高いリサイクル率を実現するため力を入れている施策について伺うと、「なかなか思い当たるところがないんです」と渡辺氏。「地域や学校へ行って、繰り返し分別ルールを伝え、資源として排出して欲しいとお願いしていること」、その地道で丁寧な啓発活動こそが、市民のごみ分別意識や3Rへの理解を向上させ、リサイクル率の維持にも繋がっているのではないかと考えています。

新潟市 環境部
廃棄物対策課リサイクル推進係 係長
灰野 知明
同課 業務係 主事
田部 彩菜
廃棄物政策課企画係 係長
渡辺 敦子
同係 主査
今井 和行
歴世礦油株式会社 環境事業部
新潟プラスチック油化センター 所長代理
市橋 徹
係長
井口 洋一
左より田部さん、灰野さん、渡辺さん、今井さん

左より田部さん、灰野さん、渡辺さん、今井さん

左より井口さん、市橋さん

左より井口さん、市橋さん

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