PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.34

協議会の活動紹介

EUにおけるPETボトルリサイクル調査

左より大平顧問、Patrick Peuchエグゼクティブディレクター(PETCORE EUROPE社)、中町氏、古塩会長

左より大平顧問、Patrick Peuchエグゼクティブディレクター
(PETCORE EUROPE社)、中町氏、古塩会長

左より中町氏、宮澤専務理事、大平顧問

左より中町氏、宮澤専務理事、大平顧問

 PETボトルは、びんや缶など他の素材の容器が社会に定着した後、新たに開発されて1990年代に本格的に導入されました。今やリサイクルの優等生として評価され、日本におけるリサイクル率は世界のトップレベルに達しています。
 PETボトルリサイクル推進協議会は、2015年6月11日から18日の間、ベルギー、イタリア、オーストリア、オランダ、スウェーデンの5か国の9つの団体を訪問し、PETボトルのリサイクルのフローに焦点を置いて、各種情報を入手してきました。
 調査の目的は、高いリサイクル率を実現している日本とヨーロッパの各国におけるリサイクル手段の違いを認識することにありました。

リサイクルの概要

 EUにおけるPETボトルの収集量は、リサイクル設備能力の86%程度で、設備過剰状態にあり、平均稼働率は82.9%であるとのことです。また、PETボトルリサイクルの工程ロスは24.5%です。ちなみに、EUにおけるPETボトルのリサイクルフローの概要は、2013年度では、消費量(販売量)約2,900千トン、収集量約1,700千トン、リサイクルへの投入量約1,600千トン、リサイクルされたPET樹脂の製造量約1,200千トンであり、41%のリサイクル率となっています。

各国の状況

 イタリアでは、収集される家庭系プラスチック容器包装の量は12㎏/人/年で、総量700千トンです。プラスチック容器包装全体のリサイクルは、COREPLAによる家庭系のリサイクルが400千トン、排出者責任をベースとした他の仕組みによる事業系のリサイクルが300千トンで、総リサイクル率は36.8%です。
 選別では、住民が排出するプラ容器包装は、素材や形状の別なく混合であり、収集物は、COREPLAが入札で選定した選別施設に委託して選別されています。選別の94%は、機械的な自動選別、6%は手選別です。選別によって、PET29%、HDPE 10%、フィルム7%、混合ポリオレフィン14%に分けられ、残渣40%は熱回収に向けられています。
 ベルギーでは、PETボトルは、PMD(プラスチック容器包装、メタル缶、ドリンクカートン)と一緒に袋で収集されますが、プラスチック容器包装全体の75%を占めています。

感想

 PETボトルの登場が先行したヨーロッパのPETボトルのリサイクルの現状は、国によってそれぞれに違いがあります。平均では日本に劣るものの、日本並みのリサイクル率を達成しているドイツや北欧の国々があります。そしてその違いは、種々の面で日本とは異なる制度や手法にあるようです。手段の違いの原因と背景を探り、さらに環境的、費用対効果的視点から分析し、今後の活動につなげたいと考えます。

EU再生PET用途別の割合

※COREPLA:イタリアにおいてプラスチック容器包装を受け持つ指定法人
※HDPE:高密度ポリエチレン

編集後記

PETボトルリサイクル推進協議会 会員団体

 今号の特集ではガラスびん3R促進協議会、プラスチック容器包装リサイクル推進協議会、PETボトルリサイクル推進協議会の3者による座談会を企画し、3Rのための第3次自主行動計画について意見交換させていただきました。市町村紹介では横浜市と仙台市の混合収集と市民への啓発活動を、再商品化事業者紹介は「何度でも使えるリサイクル」を理想に掲げ、技術進化を続けるウツミリサイクルシステムズ(株)、東北生まれ・東北育ちで地域に根差したPETボトルリサイクル専門企業(株)タッグを紹介しました。再生樹脂利用事業者は、再生PET樹脂を使用した環境配慮型ラベル素材の開発を進めるリンテック(株)を紹介しました。それぞれの主体が連携、協働して環境活動を推進しています。今後も現場の声や新しい情報を発信していきたいと思いますので、ご一読の上、ご意見をいただければ幸いです。(T)

TOP