PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.34

会員企業訪問

伝統を守りながら、革新を続ける…世界の“kikkoman”

キッコーマン株式会社

 キッコーマンのしょうゆづくりは現在の千葉県野田市で17世紀半ばに始まったと言われています。利根川と江戸川に挟まれた野田は、発酵に適した気候、品質の高い原材料の入手や消費地への運搬に便利な水運、優れた水質、といった条件に恵まれていました。しょうゆづくりは高梨家・茂木家の創業を追って盛んになり、当地は関東第一のしょうゆの産地へと発展していきます。中でも茂木佐平治家が用いた商標「亀甲萬」は、江戸の醤油番付において常に上位に位置づけられていました。

「亀甲萬」から「キッコーマン」そして“kikkoman”へ

 1917年、茂木6家と高梨家に流山の堀切家が加わり「野田醤油株式会社」を設立。1940年にはそれぞれの家が個別に持っていた商標を「キッコーマン」に統一しました。
 1957年には米国サンフランシスコに販売会社を設立し、現地で生まれた名コピー“ALL-PURPOSE SEASONING”をラベルに表記し「素材や料理を選ばず何にでも合う“万能調味料”であるしょうゆ」の魅力を世界に伝え始めました。1973年には、米国ウィスコンシン州ウォルワースに工場を建設、江戸時代から続くしょうゆづくりの方法を守りながら現地生産を開始しました。現在、海外7カ所に生産拠点を設け、キッコーマンしょうゆは世界100か国以上で販売されています。売上高も営業利益も海外が国内を上回っています。

キッコーマンの歴史は、パッケージの進化の歴史でもある

 しょうゆの容器は、時代と生活の変化に合わせて進化し続けています。江戸時代に使われていた杉板製の結樽や陶磁器製の容器などは水や熱水で洗って再利用されていました。大正時代から使われ始めたガラスびんは、保存性に優れた「リターナブル容器」として今でも強度改善と軽量化を続けています。
 そして1977年、キッコーマンは食品業界日本初となるPETボトルを採用したPETボトル「500mlマンパック」でしょうゆの販売を開始しました。それ以降も軽量化・強度・品質保持力・リサイクル性・使いやすさの向上に努めたことで、現在では酸素の遮断性に優れ、壊れにくく、透明度が高く、しかも軽いPETボトルは、しょうゆ容器の主流になっています。
 また、再利用を容易にするため、PETボトルのキャップや製品ラベルなどの工夫にも力を入れています。1999年には中栓をとりはずしやすく改良した「エコキャップ®」を開発・導入し、「より使いやすい」「よりとりはずしやすい」機能性を追求して、キャップの形状や仕様を変更しました。また、製品ラベルも手ではがしやすい接着糊に変更するなど、環境性能の向上に努めています。

自然環境と調和のとれた企業活動

 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の削減目標を、2014年度までに2005年度比で17%以上としましたが、ボイラーの燃料を一部、重油から「しょうゆ油」に切り替えるなど、さまざまな取り組みの結果、21.7%削減と目標を大きくクリアしました。
 また廃棄物・副産物の再生利用率は、「しょうゆ粕」を畜産の飼料に利用し、「しょうゆ油」を燃料に使用することなどによって、99.6%を達成しました。
 そして、太陽光パネルや雨水を洗浄水に利用できる設備の設置、においや音が工場の外に漏れださない装置の工夫、用水使用量の削減目標を定めた節水への取り組み、トラックのアイドリングストップなど、ハードとソフトの両面できめ細かい活動を続けています。

人気の「環境学習」

 春と秋の2回、野田市内の清水公園で地元の小学生を対象に「エコ学習」を行っています。班に分かれて自然インストラクターとともに園内を巡りながら、さまざまな動植物や昆虫の生きる姿を観察し、触れ、採集することを通して、自然の大切さを学ぶイベントです。小学校に戻った後には、班ごとに「壁新聞」や「小冊子」にまとめ発表会を行います。
 また、夏休みに開催している「エコ教室」は、地元だけでなく東京や埼玉からの参加者も増えています。宿題のお手伝いにもなる「プラスチックの科学」をテーマに、PETボトルとキャップ、ラベルの比重を比べるため水に浮かせ分別する実験や、PETボトルから糸を作る実験など7つの題材を用意。容器のエコや環境性能が楽しく学べるワークショップを展開中です。

左より今井氏・桑垣氏・小川氏

左より今井氏・桑垣氏・小川氏

理事 環境部長 農学博士
今井 泰彦
商品開発本部設備開発部 容器包装開発チームリーダー
 
兼プロダクト・マネジャー室 管理グループ副参事 包装管理士
桑垣 伝美
コーポレートコミュニケーション部工場見学グループ
小川 達也

<概要データ>

〒278-8601 千葉県野田市野田250
TEL. 04-7123-5111(野田本社)
設 立: 1917年(大正6年)12月7日
従業員数(連結): 5,912名(2015年3月31日現在)

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