PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.34

再商品化事業者紹介

回収PETボトルの中間処理から最終製品まで一貫生産
理想は「何度でも使えるリサイクル」

ウツミリサイクルシステムズ株式会社

ウツミリサイクルシステムズ株式会社

〒541-0056 大阪市中央区久太郎町2-4-27 堺筋本町TFビル8F
TEL. 06-6261-5511(代表)

 使用済みPETボトルの超洗浄リサイクル法における前処理工程(粉砕、異物分離、高温アルカリ洗浄)で不純物除去技術を確立し、長繊維用途の再生PET樹脂を製造するウツミリサイクルシステムズ株式会社。
 同社は、「再生したPET樹脂は何に使われるのか?」…その用途を最も重要な要素と考え、再生処理方法に関する工夫を続け、食品用途のボトルやシートの製造に適した原料に転換できるPETボトル再生リサイクル設備を導入しました。「何度でも使えるリサイクル」を理想とし、その技術を進化させ続けている内海正顯・代表取締役にお話を伺いました。

3工場4ラインは、フル稼働中

 製造拠点は、大阪府泉南市のりんくう工場・泉南工場、愛知県小牧市にある子会社(UR中部)の3カ所があり、製品のラインは「使用済みPETボトルからフレーク」「フレークからシート」「フレークからペレット」「シートからトレー(最終製品)」に分かれています。

「PETボトル再生設備」は効果大

 超洗浄リサイクル法と呼ばれる「PETボトル再生設備」を設置し、食品用途の再生PET樹脂を製造しています。「フレークからシート」製造ラインでは、不純物除去されたフレークから特殊溶融押出機を通してシートを生産しており、この工程でも揮発成分や不純物の除去が行われます。また、「フレークからペレット」製造ラインでは、長繊維製造に適した原料のペレットを生産しています。

スポーツアパレルのトップブランドから高評価

 このようにして製造されたペレットは、衣料用の長繊維を生産できる品質の再生ペレットとして高い評価をいただき、スポーツアパレルの世界的トップブランド数社に採用されています。
 特に、欧米では再生素材を使用することにメーカー、消費者の意識が高く、商品にははっきりと「100%リサイクル」と表記されています。こうした背景から、同社のペレットはバージンより高い価格で購入してもらっています。そして現在は、製造工場がある韓国・台湾・タイ、そして北米にもペレットを輸出しています。

さらに安全性を高める技術

 「使用済みPETボトル からフレーク」製造ラインでは、フレークを高温アルカリ洗浄・研磨することで表面に吸着した異物を除去します。様々な方法で連続的に洗浄処理を行うことで「連続不純物除去技術」を確立し、微細な異物も除去することができるようになりました。
 「フレークからシート」製造ラインの溶融押出工程でも、フレークの内部に収着している異物を高温で気化し、吸引除去します。たとえば、殺虫剤などの有害物質が保存されていた使用済みPETボトルのフレークが混入しても、フレーク内に収着した農薬成分を気化させて取り除くことができます。
 現在は、食品に直接接触する容器への使用に向けて安全性を確立し、平成24年に施行された「食品用器具及び容器包装における再生プラスチック材料の使用に関する指針(ガイドライン)」に基づいた評価を実施して、厚労省の食品安全基準審査に照会する準備を進めています。

自慢は現場、社員の弛まぬ向上心です

 現場では、常に独自で技術改善を行っています。決してマニュアル的ではなく、臨機応変。お客様のご要望に合わせ工程会議を開き、工程のリーダーが話を良く聞いて、逐次修正を行っています。「各リーダーの知恵ですね。泥臭いものだと思います。でも、現場は…よく考えるなぁ~。と感心しています。」と内海氏です。

(公財)日本容器包装リサイクル協会から入手しているボトルは、良い品質だと思います

代表取締役 内海 正顯

ウツミリサイクルシステムズ株式会社
代表取締役 内海 正顯

 再生原料メーカーとして見ても、日本の回収の仕組みは世界でも優れた方法であることは間違いありません。きれいな使用済みPETボトルを使ったものづくりを、社員と一緒になって推し進め、海外にもさらに事業を広げて行こうと思っています。

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