PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.34

資源循環型社会形成を目指して

宮城県仙台市

(2015年9月取材)

 「杜の都」仙台市の人口は現在108万人。「学都仙台」とも呼ばれる市内には、大学や専門学校が多く、大企業の支社・支店も集中しているため年間で約5万の人口が入れ替わっています。

専用の回収容器で混合収集を実施

 1984年から「缶・びん・廃乾電池類」の混合収集と再資源化事業を行っており、1997年からは「PETボトル」も加えた混合収集を開始しました。
 回収容器は容量45Lのプラスチックボックスを使用し、回収はパッカー車ではなく平ボディ車で行っています。そのためびんの破損が少なく、破片がPETボトルに付着するという問題が起こりにくくなっています。洗浄されたプラスチックボックスは約2万カ所の集積所に前日に設置され、週に1回収集が行われています。
 ベールは全量が日本容器包装リサイクル協会に引き渡されており、その量は震災以降増加し4年連続3,360トン前後を推移しています。品質の維持のため年に一度、各地区からサンプリングし、独自の排出状況調査を実施しています。その評価データは各区の環境事業所が実施する啓発活動などに役立てています。品質調査ではAランクの評価をいただいていますが、項目別だと品質にばらつきが見られるため、さらなる品質向上を図ります。

「ワケルくん」ファミリーが活躍中

 2002年に「100万人のごみ減量大作戦キャンペーン」のキャラクターとして誕生した「ワケルくん」。とても評判が良かったので継続して活躍してもらうことになり、全国ネットのテレビやラジオに取り上げられて、多くの人に知られるようになりました。
 通常のポスター掲示だけでなく、コンビニの店内放送で「ワケルくん」が呼びかけるなど、いろいろな場面でアピールを続けています。また訴求するテーマも増えたため、妹の「ワケミちゃん」やパートナーの「セツコさん」、おばあさんの「トメさん」、猫の「ワケ猫ちゃん」、犬の「ワケタロウ」も加わった、「ワケルファミリー」で3Rの推進をPRしています。

啓発活動のこれから

 「資源とゴミの分け方・出し方」のパンフレットを市民に配布し、6月の環境月間や10月の3R推進月間中には、3R啓発イベントを積極的に開催しています。また、各区の環境事業所では出前講座を行い、ごみの出し方のルールを伝えるだけでなくしっかりと実践していただくための啓発活動を継続しています。
 しかし震災以降、ごみの排出量は高止まりとなっており、家庭ごみへの資源物混入率も増加傾向にあります。若年層や短期居住者の方々に、ごみ減量・リサイクル推進の訴えが十分届いていないことが要因の一つと考えられることから、市民団体にも協力していただき、協働の取り組みを展開しています。

左より高柳氏・阿部氏・岩渕氏・高山氏

左より高柳氏・阿部氏・岩渕氏・高山氏

仙台市環境局廃棄物事業部参事 兼 ごみ減量推進課長
岩渕 千代子
ごみ減量推進課資源化推進係長
高柳 徹
ごみ減量推進課企画啓発係長
阿部 和則
ごみ減量推進課資源化推進係 主任
高山 幸雄

松森資源化センター

 本センターでは1日に回収容器1万3千~4千箱が搬入され処理されています。そのうちPETボトルは容積比で50%以上を占めています。
 缶・びん・PETボトルなどの選別作業を、安全に見学できるコースを設けてあります。PETボトルがつぶしてあると、ガラスびんとの違いがはっきり判り手選別しやすくなる、回収時のボリュームが減るなど、排出ルールを守ることのメリットを見学者に伝えています。
 また、きれいなベールにするためには、PETボトルを排出する際に“ ①キャップをはずす ②軽くすすぐ ③ラベルをはがす ④つぶす”ことがとても大切だと理解し実行してもらえるよう、しっかりとアピールしていきます。

センター外観

センター外観

左より菊地氏・佐藤氏・藤澤氏

左より菊地氏・佐藤氏・藤澤氏

仙台市環境局廃棄物事業部 ごみ減量推進課資源化推進係(技術管理者)
菊地 吉夫
株式会社仙台市環境整備公社 事業部松森選別課長
佐藤 義治
同課 第一係長
藤澤 清

PETボトルリサイクルを支援する市民団体
ペットボトルラベルはがし調査実行委員会

調査実行委員会 会長 日下部 稔

ペットボトルラベルはがし
調査実行委員会 会長
日下部 稔

 私たちの活動は約10年。10数名のメンバーで月に1回の会議を続けながら「啓発用ポケットティッシュ」配布、「手作りパネル」展示など、広く市民がラベルはがしを楽しんでできる施策を考えてきました。最近では、PETボトルが生まれ変わってできた「再生品」をイベントなどで紹介し、資源としての価値をしっかり伝えています。

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