PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.34

資源循環型社会形成を目指して

神奈川県横浜市

(2015年8月取材)

「ヨコハマ3R夢(スリム)プラン」で着実な成果

松本氏

松本氏

 約372万人の人口を擁し、神奈川県内の全市町村の中で最も広大な437km2の面積を持つ、わが国最大の政令指定都市・横浜市。
 その横浜市が現在進めている行政施策のなかで特に注目されるのは、2010年度以降に取り組んでいる一般廃棄物処理基本計画「ヨコハマ3R夢(スリム)プラン」です。これは、2010年度までにごみの排出量を2001年度比で30%減らすことを目標に掲げて展開してきた『横浜G30プラン』をさらに進めた計画で、「3Rの中でも環境負荷の軽減効果が最も大きいリデュースに特に力を入れていくことにしている点が大きな特徴です。」と同市資源循環局の松本係長。この計画に沿って現在同市では、出前教室などの住民説明会の開催、さらにはスーパーの店頭や地域のまつりなど各種イベント会場での積極的な呼びかけなどリデュースを中心とした3R行動を市民に強く訴える活動を活発に展開しており、その回数は年間1,500~1,800回に及んでいます。

市内4ヵ所に設置されている資源選別施設

 PETボトルについては、「横浜G30プラン」実施前の2002年に、全市で収集を開始しました。収集効率を重視し、缶、びんと同じ袋に入れ、混合収集しています。
 回収された3種類の資源ごみは、市内4カ所に設置されている資源選別施設(緑資源選別センター、鶴見資源化センター、戸塚資源選別センター、金沢資源選別センター)に搬入され、PETボトル、缶、びんの3種類に分別されたあとそれぞれのリサイクル業者に引き渡されます。現時点における4センター合計の選別能力は一日当たり190トン。2014年度の総搬入量は合計で55,452トン、選別実績(資源化量)は53,304トンでした。

PETボトルの収集量、2014年度は11,354トン

 PETボトルの2014年度の搬入量(収集量)は11,354トンでした。分別されたPETボトルは全て日本容器包装リサイクル協会に引き渡されています。
 横浜市のPETボトルは、缶、びんと混合で収集しているため、ガラス片が多く混入しており、再商品化事業者より、ガラス片をもっと取り除いて欲しいとご指摘いただくことがありました。改善を図るため、各資源選別施設の施設管理の委託先である、公益財団法人横浜市資源循環公社により、毎月、各資源選別施設において、PETボトル梱包ベールを解体し、缶類やガラス類などの異物の混入状況を調査しています。また、その結果を元に振動作用でガラス片を振るい落とす(除去する)ことができる選別機を導入したほか、選別工程を見直すことにより、品質の向上に繋げました。
 ベール検査の結果は概ねAランクで推移していますが、まだキャップやラベル付きのものも多く、大きな課題と考えおり、公益財団法人横浜市資源循環公社と共に、市民への広報に取り組んでいます。

「環境学習」などでも市としてさまざまな工夫を

見学した学校からの手紙

見学した学校からの手紙

 市内の小学校では、総合学習の一つとしてごみの分別収集などについて学習するための時間を設けており、学習の際には、一般の教科書に加えて横浜市のごみの排出状況や分別方法、さらには収集の流れなどを紹介した市独自の副読本を活用しているのが特徴です。内容が分かりやすく多くの子どもたちがごみ問題をごく身近なものとして捉えることができると評判です。そして、授業の一環として資源選別施設を見学する学校も多く、ここ数年の見学者は、4センター合計で年間7,000~8,000人に達しています。
 また、学校や保育園・幼稚園に出向いての出前教室やキッズ向けのホームページの開設、さらにはゲームやクイズを使って、ごみの資源化の流れや分別の必要性などを自然に学んでもらえるように工夫しているとのことです。

横浜市資源循環局家庭系対策部業務課

分別・リサイクル推進担当係長
笠原 勝
同担当係長
佐々井 正泰
同課分別・リサイクル推進担当
宮永 祐輔
同担当
三枝木 武
同担当
水野 菜摘
横浜市資源循環局総務部3R推進課担当係長
松本 美穂
同課担当
若林 美沙子
公益財団法人 横浜市資源循環公社 事業課施設所長
福田 裕
同課施設係長
金沢 友秋

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