PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.34

第3次自主行動計画について

3R推進団体連絡会の取り組み

宮澤 3R推進団体連絡会が、第3次自主行動計画を発表しましたね。
 また、昨年の12月には第2次自主行動計画の4年目の(フォローアップ)報告をしていますが、それによれば容器包装の3Rの取り組みは、目標に対しておおむね順調に推移しているとのことです。
 今後もこの流れを加速しながら計画以上の成果をあげることを求められている状況と理解しています。
 ということで、幹事長に3R推進団体連絡会の活動のレビューをまとめて、歴史的なところと、活動の成果をどうお感じになっておられるか伺いたいと思います。

久保 3R推進団体連絡会の発足は2005年12月。容リ法の第1回目の見直しの状況を踏まえ、また経団連の提言を受けて、事業者の活動を各主体に伝え連携協働をはかるための自主的な取り組みとして、容器包装の3R推進に係わる8団体により結成されました。8素材において横断的に3Rを推進する体制を固めて、種々の取り組みをしております。
 核になっているのは2006年度からスタートした自主行動計画で、現在は第2次自主行動計画が終わって、第3次自主行動計画という次のステップへ進むところです。これまで、リデュース・リサイクルの素材ごとの目標を決めて、その目標を達成し上方修正をして、成果をあげてきたと自負しております。また数値目標の達成以外の取り組みとして、各主体間の連携をはかるために、セミナー、フォーラム、市民リーダー育成など幅広い活動をしてきたこともあり、容リ法の見直し審議会でも自主行動計画について評価をいただけるようになりました。今後はさらにこれを深掘りして、容器包装の3Rの推進に向けた事業者の取り組みを評価していただくと共に、関係各主体との連携協働を深めていきたいと思っております。

宮澤 容器のリデュース・リサイクルはこの10年間で着々と進んできたということですが、その要因や原因はどういうところにあったと思われますか?

久保 容器のリデュースが進んだのは、事業者の取り組みがこれまで以上に活発になったというのが主たる要因だと思います。なぜ活発になったかといえば、当然ながら消費者・自治体等との連携を通じて、消費者のニーズに前向きに対応してきたということもあるし、3R推進に向けた市民意識も含めて、事業者の意識が向上してきているということがあると思います。リサイクルについても、容器包装リサイクル法の再商品化の進展とともに、事業者や自治体の取り組みが進み、消費者の関心も高まってきて、その相互作用により着実に進んできたということではないでしょうか。

宮澤 全体的にはそう考えられますね。では、上手くいっていないところ、満足のいっていないところは反省としてありますか?

久保 プラの場合は多々あります。非常に幅広い業種に渡っているので、リデュースをやる動機や関心度に温度差があります。進んでいるところは相当に進んでいるし、意識が高いところもある一方で、扱っている商品に関わるプラスチック容器包装の比率が高くないなど諸般の事情で、それなりの取り組みはしているけれどもなかなか数値化が難しいという業種もあります。

宮澤 他の材料はどちらかというと単品ですが、プラスチック容器包装の範疇が形態的にも、素材的にも幅が広いから、その対応状況に温度差が相当あるということですね。

久保 いまプラスチック容器包装リサイクル推進協議会だけのことについていえば、容器包装利用事業者は小売業も入れて22業種あります。関心度は皆さん高いといえば高いのですが、取り組みの内容は当然温度差がありますよね。容器がなければ商品を供給できないというのは一緒でも、容器のもつ重要度というか占める位置が業種によって違いますね。
 つまり、対応が遅れているといわれているプラスチック容器包装についても、問題や課題が顕在化してきたと分かる位には、取り組みが進んできていると考えております。

宮澤 自主行動計画担当の幸さんには、補足していただくことはございますか?

 私が強く感じているのは、容器包装の3Rが着々と進んできた理由は、取り組みが蓄積されてきたところにあるということです。取り組みは単年度で済むということはありえなくて、蓄積していくことによってはじめて成果が顕在化してくる訳です。これだけ長くやってきたからこそ、成果がはっきりと見えてきているのだと思っています。

リユースの取り組み

宮澤 3R推進団体の中で、ガラスびんだけがリユースの取り組みを行っていますが、他の団体が実質的に行っていないことに対してはどうお考えでしょうか。

久保 リユースを行っていないと言うと非常に悪いみたいですが、適性がないと言った方がいいのではないでしょうか。ガラスびんのみがリユースに適している、ということだと思います。容器包装をリユースするにあたっては、中身に対する担保をしなければいけないというのが一番大きい問題です。ガラスびんはその点、正しく洗びんすれば再使用可能になります。ガラスびん以外の容器包装ではそうはなりません。決定的ですよ。

幸

 リユースの取り組みは、ガラスびん以外ではなかなかできません。それは、他の容器では、中身の品質保持や安全性の問題を克服するための課題が大きすぎるからということですね。

宮澤 ガラスびんは相当にリユース実績があり、他の容器にはない。その辺でリユース活動を探るのですけれども、何か補足するところはありますでしょうか?

 ガラスびんのリユース実績というのは、残念ながら減少しています。一番減っているのは家庭の中でのリユースびんです。びんのリユース商品を家庭の中で見なくなったため、若者を中心にリユースびん自体をよく知らないという方が増えて、一升びんがリユースびんであるということも分からなくなりつつある状況です。皆様からはしっかりと普及啓発をすべきと言われているのですが、なかなかそれは事業者だけが取り組んで伝えていくという話でもなくて、関係者のご協力をいただかないとできない、といったところがあります。

宮澤 私の小さい頃だと、学校で子供が集団回収をしていて、その中心が一升びんやビールびんでした。そういうのは今でもありますよね?

 集団回収は、残念ながら家庭の中のびん商品の量自体が減少し、昔から比べるとずいぶん減りました。リユースびんの実績が落ちているというところが最も大きな課題で、何とかこれを当面は維持、下げ止まりできるようにならないかと取り組んでいます。実際にどんなことかというと、地産地消の事業者などに声をかけて、地域ごとにびんリユースをやっていくといった取り組みです。なかなかこれが全国の実績に結びつくほどの成果につながらないので、様々な取り組みをどう効果的にやるかといった点が、非常に苦労しているところですね。

第3次自主行動計画のポイント

宮澤 では、第3次自主行動計画に話題を移しますが、そのポイント、目玉というのは何でしょうか?

久保

久保 今までやってきた3Rを更に深堀りするために、数値目標を達成すると同時に主体間連携に取り組み、また学識者との連携を深めます、ということでしょう。また、新しい方向を探るように情報収集も図ります、という話になります。

宮澤

宮澤 第2次自主行動計画と比較すると何が違いますか?

 第1次自主行動計画は、3R推進団体連絡会を結成した直後ということで、定量目標を中心としていました。まず目標を作って手探りで始めたというのが第1次で、それを継続充実させたのが第2次ということになります。
 では第3次はどのような内容にすべきかということを、時間をかけて事業者の中で検討し、関係ステークホルダーの方にもご意見を伺ってきました。単に今までの延長ではなく、将来に向けて何をすべきか、あるいはどういった内容にすべきか、というところをしっかりと議論した、というのが第3次のポイントと考えております。策定するメンバーも第2次計画策定の5年前とは大きく変わっているので、まず他の団体のことをよく知り、他の団体の立てている目標の立て方や取り組みの内容をしっかりとお互いに共有した上で、何が課題なのかという議論をしていきました。そういうきめ細かい組み立てをしてきたということです。
 明らかに異なるところは、第1次・第2次では基本方針はなく、どういった取り組みをするかといったところまでは整理していませんでした。第3次については、課題をしっかりと皆で共有して、基本方針を立てて取り組んでいます。具体的に言うと、「容器包装の基本的な機能・役割」を前提にしたうえで、「容器包装の環境配慮」とは何か、環境配慮の中で「3Rの推進」とはどういう取り組みなのか、という「環境配慮」や「3R」についての位置付けを十分に議論し、整理したつもりです。
 定量数値については、第1次・第2次でも各団体の中でできるだけ共通化しようと取り組んできましたが、第3次の中ではより分かりやすくし、用語についても共通化を図りました。また、他主体との連携に関しては、これまでの実績も踏まえて更にどのような深化をさせていくのか、それぞれの素材の特性に合わせて様々な取り組みを組み込んでいます。

久保 プラスチック容器包装の関係でいうと、第3次計画案を基に各委員会などで議論をしていますが、やはり物理的にも大きな課題だな、という感じになっています。いろんな数値目標のとり方にしても、前回より気合が入って、集計制度の向上も図れるのではないかという期待感があります。

宮澤 プラスチック容器包装リサイクル推進協議会のように、利用事業者だけで22団体もあって、目標設定を達成しようとしたときの、協議会としての役割というのは何でしょうか?

久保 まずは、各団体にそれぞれできることをやっていただくことです。もう限界というところもあるし、まだまだ取り組みに課題を抱えたところもある状況ですが、集計が難しい業種にも、一歩でもレベルアップしていけるようにお願いしコミュニケーションを図っていくことが重要と考えています。
 プラスチック容器包装でリデュースの実績をとるときに原単位を作るのですが、業界によっては、原単位では適切な集計ができない場合もあるわけです。
 一方で、大手10社の実際に減らした商品ごとの実数を足し算したデータというものもあって、これはかなりきっちり出てくる。こういったものを出してくれるようになっただけでもかなり進歩してきたと思っています。

宮澤 いま第3次計画で苦労した部分の話を伺いましたけれども、ただ訴えの強調というより、他主体に対する要望とか、市民の意見を把握するということに関しては、如何でしょうか?

久保 調査研究的なことで情報をキャッチして手を打つことと、現場に行ってセミナーやフォーラムや意見交換をやって直にやりとりしてくるということの組み合わせでしょうね。

 容器包装のリサイクルにおいて日本が一番特徴的なのは、3主体(消費者、市町村、事業者)がしっかり連携して取り組んでいるというところです。やはりスタートとなるのは直接排出者である市民で、その意識がどう変わるのか、というのが一番重要な要素です。今まで消費者が非常に真面目に取り組んできたからこそ、PETも非常に綺麗に集められるようになりましたし、今後どのようにしていくべきかを検討するにあたって、消費者意識調査は必要ですね。もっと良くするということだけでなく、消費者に過大な負担を与えていないかという点もあるし、リサイクル手法にも絡んできて、グローバル化していくのだと思います。そうした調査研究というのも必要ですし、事業者としては、その上でどうやって資源循環させていくのかということを考えていくべきだと思います。

宮澤 消費者意識調査は第3次自主行動計画の中にも入っています。消費者の意識がどう変わってきているのかをしっかりと把握した上で、私ども事業者も消費者の一員であることを踏まえ、ライフスタイルを変えていくような取り組みに繋げていきたいですね。
 本日はありがとうございました。

基本方針(8団体共通)

環境に配慮した容器包装の3R推進に取り組むとともに、
関係主体との連携の深化を図り、情報発信を進めます。

 循環型社会の構築に向けて、容器包装の設計段階から環境負荷の削減やリサイクル適性の向上等を進めるため、環境配慮設計ガイドライン等の整備や先進事例の情報提供など、素材の特性に応じた取り組みを進めます。また、消費者・自治体への情報発信・普及啓発、関係主体と連携したリユースやリサイクルシステムの構築などの取り組みを進めます。
 主体間連携の更なる深化に向けては、八団体が共同して広報・啓発事業やフォーラムなど意見交換の場の充実、調査・研究事業を進めるとともに、各団体においては素材の特性や状況に応じた連携の取り組みを推進します。

PETボトルの第3次自主行動計画(個別団体抜粋)

<次期5か年に向けた課題>

 我が国でPETボトルが世に出て40年ほどになりますが、今では市民にPETボトルが定着し、生活必需品となっています。こうした状況下、リデュース、リサイクル推進のための活動を充実させてきました。
 今後の課題としては、PETボトルのマテリアルフローの点検・整備を行い、リデュース及びリサイクルによる環境負荷低減効果の見える化を検討し、3R活動の効果をよりわかりやすく示すとともに、より一層、推進するためのはげみとしたいと考えています。

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