PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.33

資源循環型社会形成を目指して~市町村紹介~

兵庫県 神戸市

2004年に6分別、資源は3種混合収集を開始

 海と山の迫る東西に細長い市街地を持ち、古くから天然の良港を有することで知られる神戸市は、人口153.7万人(2015年1月現在)の政令指定都市です。

 市のごみ処理量は、1982年から増加し2000年にピークを迎えました。当時はごみの区分が生ごみと荒ごみの2分別の時代で、生ごみ以外全て埋め立てられていました。この状況を改善しなければという思いがあり、1992年9月に市は神戸市地球環境市民会議を設置しました。1993年7月には「市民行動計画」「市民行動計画マニュアル」をとりまとめ、地球にやさしいシンプルライフを提案。この中の行動方針1に「わたしたちは、ものを大切にし、資源化・リサイクルをすすめます」と、3Rへの取り組みが記載されています。しかし、1995年の阪神・淡路大震災の発生により3Rの取り組みが一時停滞したこともあり、市が2分別だった家庭系ごみの分別を、4区分6分別に変更したのは2004年のことでした。

 6分別への変更に先立ち、2003年より、資源はコンテナ設置による交通への支障を考慮し、市民のリサイクルへの意識の向上と負担の軽減を両立させるため、使用済みPETボトル、びん、缶の3種混合でのステーションへの排出と、週に一度の収集になりました。「当時、神戸市民としては革命ともいえる出来事でした。」と大村係長です。2008年には指定袋の導入、大型ごみの申告有料制の導入が開始され、2011年4月には容器包装プラスチックの分別収集、プラスチック類の分別区分の変更など、市の分別への取り組みは進んでいます。

 神戸市で収集される使用済みPETボトルは全量指定法人へ引き渡されています。2013年度の引渡量はおよそ3,800トンでした。

DランクからAランクへ。品質改善に邁進

 神戸市資源リサイクルセンターは6分別変更と同じ2004年の6月に、3種混合分別を前提とした施設として稼働が開始されました。リサイクルセンターでは神戸市で収集された全ての資源を選別処理しています。

 使用済みPETボトルは6分別が開始された当初、品質は良くなく、日本容器包装リサイクル協会のベールの品質調査ではDランクが続きました。主な原因は低いキャップの離脱率でした。市では、分別の時にキャップを取ることに特化したチラシを作成し、2,600ほどある自治会への配布や地域説明会の開催など、市民への啓発活動を行うことで理解を得て、意識の改善に取り組みました。また、リサイクルセンターでも2012年に使用済みPETボトルの手選別ラインへ4名増員するなど、キャップの除去を強化した結果、2012年度からは、Aランクを維持しています。

 現在の課題は、3種混合で排出されるために起きる、使用済みPETボトルへのガラス片の混入です。再商品化事業者からは“品質の良い商品にするためにはキャップの除去も大切だが、ガラス片の除去にも対応して欲しい”との声が届いています。「何が一番市民にとって良いのかを第一に考えながら、品質を上げていくことに取り組んでいきたい」と施設を担当される横山課長です。課題改善へ向けた高い意識を感じます。市民のごみ行政への満足度は高く、神戸市で平成25年度に市民1万人に対して実施した「神戸市民1万人アンケート」では、施策の満足度で2位になっています。

神戸市の様々な取り組み

 神戸市は、昨年度から環境モデル都市の指定を受け、その一環として全市を挙げて廃棄物問題の解消、低炭素化社会の実現、再生可能エネルギー利用の促進に向けて取り組んでいます。家庭用太陽光パネルの普及率では、政令指定都市で神戸市は1位となり、市民意識の高さがうかがえます。

 また、毎年重要物品に関してはグリーン調達実績を確認しています。「グリーン調達方針の中で、市で再生品を使うと決めています。重要物品の中では2013年度実績で再生PETを使った物品は災害用毛布がありました。再生PET配合率は100%で、 年間およそ5,000枚購入されています。」と小田係長です。

各啓発の中心には“ワケトン”

 神戸市は、分別徹底キャラクター「ワケトン」を使ったごみと資源の出し方・分け方ルールブック「ワケトンブック」を配布しています。2008年の指定袋の導入や大型ごみの申告有料制の導入の際に登場した妹「トコトン」によって、今ではワケトンファミリーとして各啓発の中心で活躍中です。

左より小倉氏、横山氏

左より小倉氏、横山氏

左より今西氏、ワケトン、大村氏、小田氏

左より今西氏、ワケトン、大村氏、小田氏

環境局資源循環部業務課 分別推進係長 今西 博英
環境局資源循環部資源循環政策課 企画推進係長 大村 元範
環境局環境創造部地球環境課 温暖化対策担当係長 小田 琢也
環境局資源循環部 施設整備計画担当課長 横山 典明
同部 施設課管理係 小倉 良一

神戸市の環境学習/こうべ環境未来館

こうべ環境未来館 こうべ環境未来館は、2004年に開館した神戸市資源リサイクルセンターに隣接する神戸市の環境教育拠点施設です。市の進める学校教育との連携、環境学習の場づくりと機会の提供、人材育成と協働の推進、環境情報の収集と発信の4つの柱をもとに各種講座を開催し、幅広い世代の方が来館されています。未来館には小学生を主体に、年間およそ1万人が来館します。「施設見学を通じて、限られた資源を大切にしていくことをPRしていきたいと思います。」と斧田係長です。

環境局環境創造部地球環境課 環境教育担当係長 斧田 宏美

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