PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.33

資源循環型社会形成を目指して~市町村紹介~

北海道 札幌市

札幌市の使用済みPETボトルの収集

 1869年の開拓使設置以来、北海道経済の中心である札幌市。現在では人口194万人を超える全国有数の政令指定都市に発展しています。

 市の資源の収集方法は、1998年当初から冬期の積雪による収集効率の低下をカバーするため、びん・缶・PETボトルの混合です。家庭からの収集頻度は週1回で、使用済みPETボトルはキャップをとってラベルをはがしてすすいだ後、びんの緩衝材の役割があるため、平たく潰さないでびん・缶と一緒に半透明のポリ袋に入れて排出してくださいと市民にお願いしています。

 収集効率が良い反面、混合収集では割れたガラスが使用済みPETボトルに付着し、リサイクルの支障となるという問題もあります。この改善策として、収集の際に無理な積み込みをしない、選別保管施設において収集車から降ろす際にクッションを置くなどの対策をとった結果、2012年度は選別保管施設の中沼資源選別センターではベールの品質が改善され、駒岡資源選別センターととも札幌市の使用済みPETボトルの収集雪国ならではの対策に容器包装リサイクル協会による分別基準適合物の品質調査結果がAランクとなりました。2013年度の同協会への引渡量は6,650トンでした。

札幌市の積極的な啓発活動

 市の啓発活動として冊子類の作成・配布を行っています。2014年夏、5年ぶりにリニューアルしたごみ分けガイドは、カレンダーと一緒に全戸配布したほか、市職員による出前講座を実施しています。市では、クリーンミーティングと銘打ったごみ減量やリサイクルに関わるテーマで地域を回り、積極的な啓発活動を行っています。「スリムシティさっぽろ計画について、重点的にお話させていただいています」と山田氏です。また、町内会から選出された4,000人の「クリーンさっぽろ衛生推進員」による地域の美化活動や集団資源回収の啓発活動や、事業者・市民・札幌市3者で形成された団体「ごみ減量実践活動ネットワーク(愛称:さっぽろスリムネット)」によるごみの減量・資源化活動、施設見学のイベントの開催などの活動を実施しています。

 環境学習として、札幌市では主に小学校4 年生を対象に出前教室を行っています。市内202校の小学校に対して、毎年春に処理施設の見学や清掃事務所の職員が学校に伺って講義を行うとともに、スケルトンパッカー車を用意して、子供たちにダミーのごみ袋の投入や、助手席への搭乗という体験をさせたりしています。

左より富士本氏、山田氏、伊藤氏

左より富士本氏、山田氏、伊藤氏

 2008年に「環境首都・札幌」を宣言した札幌市は、廃棄ごみの量が一番少ない政令指定都市を目指しています。

環境局環境事業部ごみ減量推進課 課長 山田 貢
同課 資源化推進係長 伊藤 篤
同課 資源化推進係 富士本 雄大

一般財団法人札幌市環境事業公社 中沼資源選別センター

 札幌市内から出される資源物の約7割が搬入さる中沼資源選別センター。その内、家庭から出される資源物が95%、事業所から出されるものが残りの5%です。使用済みPETボトルの処理量は年間5,000トンを超え、1日の搬入量が1日の処理量を超えることもあるため、年間で50日程度の土曜・日曜日の運転を行っています。

 「膨大な搬入量を処理しながらも、搬出ベール品の品質を確保・向上を心掛け、さらにはリサイクル率の向上と残渣率の低減を目指して、施設の改善と選別における改良を繰り返し行っています。」と浜木氏です。コンベアの落差を少なくする改良を施したことで、平成23年に26%あった残渣率は平成25年には22%までに下がっています。

雪国ならではの対策

 冬期間は外気温が氷点下になる札幌市。中沼資源選別センターの受入ヤードは屋内ではあるものの外気温とほぼ同じになります。室内の手選別の作業でも外気温同様に冷え切った資源物を手選別すると、手先から体全体が冷え切ってしまうため、手選別作業員の体が接触するコンベヤ側面にヒーターを入れる、足元に防寒マットを敷く、防寒カーテンを垂らすなどの対策を行っています。また、飲み残しのあるPETボトルは中身を排出してリサイクル品にしますが、冬期は残留物が凍結しているため、排出に手間が掛かることも、雪国ならではのことです。

見学者について

 中沼資源選別センターにはで年間3,000人程の見学者が訪れ、大半は札幌市内の小学4年生の環境学習です。他には、町内会や札幌市が主催する市民の方の施設見学、他都市の行政関係者や民間企業の方が訪れています。

 PETボトル手選別でキャップを取り外す作業を見てもらい、そして工場内に充満するジュースの腐敗臭を感じてもらうことで、排出時にキャップを外すこと、中を軽くすすぐことの重要性を説明し、特に小学生や町内会など札幌市民の方に対しては、札幌市のごみ出しルールに則って資源物を排出するように協力をお願いしています。

中沼資源選別センター所長 浜木 計宏

浜木所長

浜木所長

手選別での作業

手選別での作業

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