RING PETBOTTLE RECYCLING

水平循環のメカニカルリサイクルを実現

サントリー
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株式会社

サントリー
ビジネスエキスパート
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最近は、使用済みPETボトルの「BtoBリサイクル」との呼称が一般市民の間にもかなり浸透してきました。今号では、わが国で初めてメカニカルリサイクル(マテリアルリサイクルの一手法、以下「MR」と略す)法によるBtoBを実現・拡大中のサントリービジネスエキスパート(株)の高田宗彦・SCM本部新包材技術開発推進部長にお時間をいただき、MR法によるBtoBに取り組むに至った経緯と現況ならびに今後の展開についてお話を伺いました。

新たな環境戦略の打ち出しが契機

―まずは、御社がBtoBリサイクルに乗り出すに至った歩みをご紹介下さい。

 2006年3月にPETボトルに関する取り組みを進化させるため社内に専門のプロジェクトチームを発足させたのが始まりです。そして、時を同じくして定めた会社全体の「環境戦略」に基づき、従来からのボトルの軽量化などに加え、使用済みPETボトルのBtoBリサイクルを同チームの最重要テーマに取り上げることにして、具体的な方策の検討に入りました。
 そうした中で、リサイクルの有力企業として協栄産業(株)様の名前が挙がってきたので工場見学に伺いました。そこでユニークな設備(MR設備)が目に入り、同社の古澤社長にお尋ねすると「いまはラベルへの使用にとどまっているものの、これからはPETボトルのリサイクルにこの設備を活用していきたい」とのことでした。これは我々の目指す基本的方向に適合するシステムだと判断し、MR法によるBtoBに乗り出す決意を固めたわけです。

―MR法の採用に当たって最も腐心したのはどんな点でしたか。

 安全性の確保でしたね。MR法による飲料PETボトルへのリサイクルはわが国で初めてのこととあって、安全性の確保には特に念を入れていく必要があると考え、慎重に確認実験・評価を重ねてきました。その結果、2011年初めに安全性を十分確保していけることを最終確認できたのです。

烏龍茶用からスタートして対象を順次拡大

―現在はどんな飲料にリサイクルボトルを採用していますか。

 2011年に「烏龍茶」の2Lから始めて「伊右衛門」500mlなどへと拡大し、生産拠点も3工場へと広げてきています。最初は、MR法とケミカルリサイクル法の両プロセスによる再生樹脂を併用していましたが、翌年4月からはMR法による再生樹脂を100%として現在に至っています。
 今年は、従来からの無菌充填用に加えて炭酸用にも採用していきたいと考えており、来年には年間使用量2万トンを目指していきます。

店頭回収ボトルも活用

―今後は店頭回収品も活用していこうとしていますね。その背景は?

 市町村が一般家庭から分別収集する使用済みPETボトルは、輸出に向けられる量が年々増えてきています。したがって、容リルートからの回収品にのみ頼っていてはとても再生品の使用比率を増やすことはできません。
 そうした折に協栄産業(株)様から“スーパーの店頭回収品の一部を再生しているのでそれを使わないか”とのお話があり、去年の夏以降、さまざまな店舗からの回収ボトルについて入念なチェックを行ってきました。その結果、市町村分別収集ボトルと同等以上の品質であることが確認できたので、一般家庭からの回収品であることを前提に11月からスーパー店頭回収品の採用にも踏み切ったのです。

原料問題などの解決には業界全体で取り組みを

―厳しい原料事情の中でのリサイクル活動は容易でないと想像されますが。

 当社は先頭を走って取り組んでいるという自負を持ち、循環型社会形成に貢献するという企業の社会的責任はきちんと果たしていかなければならないとも考えています。もともと容リ法の趣旨もその点にありますしね。
  ともあれ、現在のMRシステムはとても高度な手段と言ってよく、これを成功させ、他の企業にも参入していただいて、しっかりリサイクルの輪を回していくようにしたいと考えています。現在のように入札価格をかなり高くしないと容リ協分を落札できないとか、半年毎に落札できるかどうかが分らないといった状況下では新たな企業の参入は困難です。そうした不完全な状態を関係業界全体で改善するための取り組みをしっかりしていきたいですね。

―有益なお話を有り難うございました。

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サントリービジネスエキスパート(株)
SCM本部
新包材技術開発推進部長
高田 宗彦 氏
画像:サントリービジネスエキスパート(株)SCM本部新包材技術開発推進部長 高田 宗彦氏

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