RING PETBOTTLE RECYCLING

資源循環型社会形成を目指して~市町村紹介~

愛知県 名古屋市
市民、事業者、行政が協働して「ごみ非常事態」からの脱却

画像:左より三輪氏、時信氏、堀氏、瀧川氏、田口室長 萩原所長

中部地方最大の政令指定都市 名古屋市

 徳川御三家筆頭の城下町として、尾張藩の中心に開府されてから約400年の歴史ある都市、名古屋市。現在の人口はおよそ227万人の中部地方最大の政令指定都市です。取材に訪れた名古屋市環境学習センターエコパルなごやは1995年に開館した体験し、考え、学び、行動に導く環境学習施設です。充実した設備で楽しみながら熱心に学習する小学生の姿に、環境に対する理解の深まりを感じます。

「処理する」から「減らす」大きな方向転換

 名古屋市のごみ問題の改善の背景には、常に市民・事業者・行政が「協働」して取り組む姿勢があります。きっかけは1999年2月に当時の市長が出した「ごみ非常事態宣言」。1998年度にはごみ処理量が年間100万トンに迫り、焼却・埋立の両面で限界を迎えつつあった中、名古屋市は新しく藤前干潟に最終処分場を造る計画を進めていましたが、渡り鳥の重要な飛来地に選定されたことで1999年1月に中止を決断した結果、ごみ処理はさらなる逼迫した状況となりました。市長はこの状況を明らかにして、20世紀中に20%、20万トン減らすことを目標に、ごみを「処理する」から、市民・事業者・行政が協働して「減らす」という大きな方向転換を行いました。その結果、99.7万トンあったごみ処理量は目標とした2年後の2000年度には76.5万トンになり、2011年度は38%減の62.1万トン、資源の分別は進み14.0万トンから2.3倍の32.5万トンに増加しました。
 名古屋市の使用済みPETボトルの収集方法は2種類あります。ひとつは市内に約17,000ヶ所あり、決められた曜日に出し、週1回収集されるステーション収集です。2011年度は使用済みPETボトルを5,884トン収集しています。もう一つは公共施設やスーパー、コンビニにご協力いただいて常時回収ボックスを設置することで、市民の方がいつでも出すことができる、拠点回収です。2011年度回収された使用済みPETボトルは2,261トンでした。
 こうして集められた使用済みPETボトルは、全て日本容器包装リサイクル協会に引き渡されます。ベールの品質は数年Aランクが続いています。

きめ細やかな気配りで環境を整える

 使用済みPETボトルはキャップをはずして、中をすすいで出す名古屋市。使用済みPETボトルの選別・圧縮・梱包・保管を行っている中間処理施設のひとつ、南リサイクルプラザを訪れました。こちらの施設は社会福祉法人ゆたか福祉会の自立型就労センター、リサイクルみなみ作業所として、2005年4月からハンディキャップを持つ方が活躍しています。「皆さんが気持ちよく仕事をするために、整理整頓・掃除など働く環境にきめ細かく気配りをしています。選別作業場は各6~8人で作業するレーンが4レーン。一日4~5時間の稼働で約9トンの選別ができます。」と所長の萩原さん。

循環型社会に向けた多様な取り組み

「ごみも資源も、減らす、生かす」という基本方針を掲げ、発生を抑制することを第一に、2007年からモデル事業を実施し、2009年全市へ拡大した「レジ袋有料化」や、「マイボトル・マイカップ普及キャンペーン」などに取り組んでいます。「レジ袋有料化」は、現在では約1,280店舗が有料化に参加し、スーパーの利用者の約9割がレジ袋を辞退するという調査結果が出ています。
 啓発活動では、小学校4年生を対象とした学習資料「ごみと資源とわたしたち」の配布や、市民との環境情報を共有する「ごみレポート」の公表、市職員による出前講座を実施しています。
 環境学習ではなごやエコスクール認定制度を設け学校での環境学習の取り組みを支援するため、環境サポーターの派遣などを行っています。環境サポーターは次世代の環境学習の目玉として養成講座を行うなど、人材育成にも力を入れています。
 「市民、事業、行政が協働して、物事に取り組む姿勢はずっと生き続けていきます。」と瀧川氏。問題や目標をオープンにして自主的に協力し合う担当者の熱い思いが、持続可能な社会へとつなぎます。

画像:名古屋市環境学習センター エコパルなごや ワークショップに参加する子どもたち

環境局ごみ減量部資源化推進室 室長 田口 則雄
主査(資源化推進担当) 瀧川 潤
主事 堀  真吾
環境局ごみ減量部減量推進室 主事 時信 勇男
環境局環境企画部環境推進課 主査(環境教育担当) 三輪 明弘
環境局環境推進課 主査(なごや環境大学担当) 大澤 勝利
社会福祉法人ゆたか福祉会リサイクルみなみ作業所 所長 萩原 千秋
(取材当時)

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