RING PETBOTTLE RECYCLING

Interview さらなる進展が期待されるPETボトルリサイクル ―主管3省に関連業界への提言を聞く― 経済産業省

相手を理解し、協働が重要

容リ法、リサイクルを代表する制度として機能

近藤 容リ法が制定されて15年が経ち、また第一次の改正が行われてからも5年が経過しました。これまでの歩みを振り返ってどのように総括されますか。
渡邊 なぜこの法律を作ったのかという原点が大事だと思います。容リ法は、ごみの最終処分場の逼迫状態に対処して容器包装廃棄物の減量化を図ろうという点にあったわけです。幸い、容リ法の施行によって容器包装を中心とした家庭系廃棄物の排出量が順調に減少し、最終処分場の延命化も進展しつつあります。一定の成果は上がりつつあると言えます。これには、容リ制度に関わる各主体間の協力が非常に大きい要素だったのではないかと思います。それぞれの持ち味をうまく出し合ってきたことが大きく寄与したと思います。

写真:渡邊 厚夫 (わたなべ あつお)氏

渡邊 厚夫 (わたなべ あつお)氏

経済産業省
産業技術環境局
リサイクル推進課長

1965年まれ。1989年 東京大学経済学部卒。同年旧通産省入省。中小企業庁、産業政策局、米国留学、製造産業局、資源エネルギー庁、官民交流などを経て現職。

 特筆されるのは、この間、一般市民による家庭系廃棄物の分別排出が定着し始めたことです。PETボトルに至っては洗ってつぶしてから出すようになりました。また、こうした行動を通して広く国民の間に3Rへの関心と取り組みが浸透してきました。この制度はまさにリサイクルを代表するシステムとして機能してきたと言えると思います。
近藤 そうした中での私たちの重要課題の一つは、市民の方々および地方自治体の皆さんに対する適切な情報の開示・提供と考えています。この点に関して何かアドバイスをお願いしたいのですが。
  渡邊 事業者の皆さんが市民の方々に対して、容器包装の3Rがいかに重要でそれを実現するにはどんなことが必要かということを丁寧に説明していくことはとても大切なことであり、また同時に、事業者の皆さんご自身がリサイクルにどのように取り組んでいるかを詳しく説明していくこともやはり重要だと思います。また、消費者と直接接点のある市町村の担当者の方々ともより緊密な関係を構築していきたいというお考えは大変結構なことと言えます。
 あとは、それぞれの意見にも率直に耳を傾けていく、つまりは双方向のやり取りをきちんと進めていく中でいま以上に何ができるかを追求していくということではないでしょうか。そうした中では消費者の皆さんに商品選択にあたっても、商品の容器包装が使い終わった後で、どのように時間をかけたくさんの関係者を経てリサイクルされていくのか、さらにはその結果ごみの最終処分場がどうなるかをご理解いただくことも課題の一つと思われます。

軽視できない市町村の独自処理量

近藤 一方、私たちにとって軽視できないのは、市町村によるPETボトルの独自処理量が多いためリサイクル事業者が必要な量を確保できなくなっている点です。この問題についてどのようにお考えになるでしょうか。
渡邊 ご指摘の問題については、国内資源循環の観点から容リ法のレビューの中でしっかり議論していく必要があるかなと感じています。現場に近い方々の参加を得てしかるべき会合の場で議論していくことが必要ではないでしょうか。そして、マーケットメカニズムが働く中で何ができるかという点をきちんと検証していくことも必要と思います。
さらに何が最も重要かと言えば、容リ法の基本方針の中でも明記しているように、各市町村においてはまず容リ法に沿って確実にリサイクルされるルートにしっかり引き渡していただくということだと思います。
 また、各市町村がやむなく独自に処理する場合には、どのようにリサイクルしているかという情報をきちんと市民の方々に開示して欲しいですね。

画期的なボトルtoボトルシステム

近藤 PETの新しいメカニカルリサイクル法によるボトルtoボトルについてのご見解をお聞かせいただけますか。
渡邊 ボトルtoボトルのシステムは水平リサイクルですから、メカニカルな手法でそれが可能となったというのは大変なイノベーションが起こったということで、私たちも前向きに受け止めています。非常に画期的なできごとと思っています。実際にも表彰の対象になっています。

日本の文化・良き国民性を制度に活かす

近藤 最後の質問ですが、この4月は容リ法附則に記載された5年後の法の見直し時期に当たります。法の見直しに関し、差し支えのない範囲でお考えをお聞かせ頂ければと思います。
渡邊 容リ法は他の個別リサイクル法に比較し、ステークホルダーが非常に多いという特徴があります。従って、お互いが相手のことを理解し、話し合い、協働していくことが重要です。容リ制度は各主体の協力があって成り立つものという認識を消費者・自治体・事業者・国を通じて、共有しなければなりません。
 日本の文化・良き国民性というアドバンテージをこの制度に活かすべきと考えています。
近藤 有益なお話を有り難うございました。

(2013年4月11日取材)

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