RING PETBOTTLE RECYCLING

Interview 再利用品市場の拡大に向けて

グリーン購入ネットワーク 専務理事・事務局長 麹谷 和也氏

―グリーン購入ネットワークの歩みについてお話しください。

 環境への負荷が小さい製品やサービスの優先的購入を進める全国ネットのグリーン購入ネットワーク(以下GPN)は、1996年2月に環境省からの呼びかけに応じて組織されました。2000年4月のグリーン購入法公布以前より活動を行っています。グリーン購入は環境と経済の両立を図るチームプレーのため、多くの方に参加していただき、国が定めるグリーン購入法適合品以外にも対象商品を広げています。参加団体も1996年のスタート時は73団体でしたが、現時点では約2,700団体に増加しています。会員の内訳は、企業会員が約8割、行政が1割、民間団体が1割です。行政は47都道府県20政令都市の全てにご参加いただいており、これぐらいの規模で行政に参加いただいている民間の組織は少ないのではないでしょうか。

写真:麹谷 和也(こうじたに・かずや)

麹谷 和也(こうじたに・かずや)

グリーン購入ネットワーク 専務理事・事務局長

コクヨ株式会社 環境マネジメント部長、コクヨビジネスサービス株式会社取締役を経て2008年より現職。
環境省「平成24年度カーボン・オフセット制度運営委員会」、経済産業省「グリーンエネルギー運営委員会」、産業環境管理協会「カーボンフットプリントコミュニケーションプログラムアドバイザリーボード」、日本経済団体連合会「環境自主行動計画 評価委員会」、などの各委員に就任。

―インターネット上での環境配慮型商品のデータベース構築の経緯と、その中でのPETボトル再利用品の状況はいかがでしょうか。

グリーン購入の市場を作るためには、消費者が買い支えなければなりません。買い支えるにはどんな商品を買ったらいいのかを消費者が知らなければなりません。そのために、製品情報を出していくことがGPNの根底にありました。しかし、何でも環境配慮商品だというわけにはいきませんので、それぞれの分野の商品や製品群に対して、この製品群にはこういう環境側面が重要でこういう配備をすべきですよね、というガイドラインを作成し、ガイドラインに準拠した製品サービスの情報を、データベースを通じて提供させていただいています。
ガイドラインを作る際は、産官学民の方々に集まっていただいて、議論しまとめています。ガイドライン作成メンバーは、公募で決めていくのですが、多くのメーカーが自ら参加されます。そして、ガイドラインができると、参加された方は積極的に情報を入れていただけます。当然、その企業には競合他社がいますので、A社を載せたらB社も載せないと負けるよねということで、今の15,000商品になったという背景があるのではないでしょうか。再生PETで検索すると400近い商品がありましたが、PETボトルリサイクル推奨マーク(以下推奨マーク)の認定商品はまだ少ないようです。

―GPNとPETボトルリサイクル推進協議会との連携はどのようなことが考えられるでしょうか。

私たちはさまざまなところで取り組み事例を紹介する機会があります。推進協さんもいろんな取り組みをされていますが、これまでの状況を情報発信できる立場にありますので、情報発信で連携を取らせていただくのがいいのではないでしょうか。
GPNだけで何かできるかというと、私は何もできないと思っているんです。いろんな方の、いろんな価値を作られている取り組みがあって、いかに連携をして、新たな価値を作り込んでいくことが、次のステージとして重要だと思っています。ですから、推進協さんとも情報発信だけではない連携の在り方も模索したいですね。たとえば、推奨マークについてもGPNとうまく連携して相乗効果が得られるようなことも考えられると思います。

―PETボトル再生利用市場での新たな取り組みである、ボトル to ボトルをどう評価されますか。

ボトル to ボトル(以下B to B)の技術は画期的だと思います。ですから、そういう技術を市場がいかにしっかり評価して買い支えるか、あるいはものづくりに活かすかということにつながっていかないとだめだと思います。その価値が理解できずに、コストが優先されてしまうところに、広がりのスピードが上がらないという理由があると思います。そのためには、情報をしっかりと発信していくことが大切です。
良いことをやっているから情報発信しないのではなく、今は説明責任を求められる時代ですから、定期的に情報を発信し続けなければなりません。PETボトルはワンウェイ容器の中でいちばん普及していますから、何かと批判の対象になりやすいと思います。B to Bのようなリサイクル技術の進歩を、しっかりアピールすることはすごく重要な気がします。

―使用済みPETボトルの海外流出に関しては、どうお考えでしょうか。

回収した使用済みPETボトルは輸出した方が高く買ってもらえるという話を聞いたことがありますが、私からすると「何を言っているんだ!」という感じです。地産地消のように、行政が回収したものを、国内でリサイクルできる仕組みを行政がきちんと守っていかないといけません。再利用品のメーカーが、原材料をいかに安定的に確保する仕組みをどう作っていくかというのはとても重要です。
使用済みPETボトルはスーパーなどでも回収していますよね。回収されているさまざまな団体を行政がしっかりまとめて、地域全体でリサイクルできる仕組みをどう作っていくかを求めていかないといけないと思います。そのことは、1メーカーでは出来ません。推進協さんのような業界団体が、行政に対して、国に対して要望を上げていくというのは絶対ありだと思います。

―今後再利用品の拡大へ向けての、課題と展望についてお話しください。

推奨マークが露出すると「このマーク何?」と感じる人が出てきます。そういう出会いの機会をどう作っていくかが課題ですね。GPNでは大学の先生などと連携しながら、小学生中学生に環境教育、いわゆる出前授業を行っています。学校では自然系の環境教育が多く、日常生活で環境負荷がどうかかっているかとか、商品を選ぶことで環境負荷を軽減できることなどの社会系の環境教育はあまりありません。日々の生活の中で環境に配慮した商品を選ぶことで環境負荷を軽減できることなどを、子供たちに理解をしてもらうようにしています。

写真:麹谷 和也(こうじたに・かずや)

推進協さんの取り組みでも、「みんなPETボトル飲料飲んでるよね、飲んだ後どうしてる?空になったPETボトルをリサイクルしたら、こんなメリットがありますよ、B to Bについても、こんな素晴らしい技術があるんですよ。」と教えてあげると、子供たちの目が輝きますよね。日々接するものを例に出してしっかり情報を伝えていくと、子供の心の中には絶対落ちるんですよ。そういうことをくり返しすることで、子供たちが5年10年先に社会に出てきた時に具体的な行動につながっていくと思います。日本はこのような取り組みについて欧米と比べ10年以上遅れています。環境技術は最先端かもしれませんが、人々のマインドで比較すると、まだまだ格差があります。教育の質をどう高めていくかと言うことをみんなで考えるべきだと思いますね。
また、再利用品として製品に展開して、その製品を消費者がきちんと理解して買うということを、どうつなげていくか。つなげるために、何が必要なのか、ということについて知恵を出さないといけないと思います。そして、その知恵の出し方はライバルで競い合うのではなくて、同じ目的を目指す各メーカーが一緒になってやることが効率的ですよね。また、対外的な広報インパクトを狙って情報発信しましょうとか、コラボレートすることで、取り組みの質を高めたり、露出度を高める時代になってきたと思います。そういう意味で推進協さんが広報誌やホームページを通じて情報発信されることは、とても意味のあることだと思います。

画像:写真左より 横尾、田中、戸川、麹谷氏、塚原

写真左より 横尾、田中、戸川、麹谷氏、塚原

TOP