10 推進協議会の取り組み

(1)海洋プラスチックごみ問題への取り組み

推進協議会は、PETボトルの海洋プラスチックごみ問題に取り組んでいます。その中でも特にPETボトルのマイクロプラスチック化問題に対して、耐候性試験によるマイクロプラスチック生成のメカニズムを検討しています。

未使用のPETボトルから切出した試験片を使用し、①ウェザーメーターによる促進耐候性試験(加速試験)と②屋外暴露試験を行っています。

①促進耐候性試験は4,200時間、②屋外暴露試験は1年まで分析が完了しています。PETボトルの耐候性試験はまだすべて終了していませんが、現在までの状況を以下の通りまとめています。

1. 耐候性試験装置と試験条件

耐候性試験装置と試験条件

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2. 耐候性試験の分子量(GPC)結果

耐候性試験の分子量(GPC)結果

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  • ①促進耐候性試験と②屋外暴露試験の時間的相関は、促進耐候性試験700時間に対し屋外暴露試験0.5年に、同じく1,400時間に対し1年に相当する結果が得られています(分子量GPC比較参照)。
  • この相関からすると、①促進耐候性試験2,800時間は、②屋外暴露試験2年、同じく4,200時間は3年相当と推定されます。

3. ①促進耐候性試験の引張強度

引張試験の結果から、PETは4,200時間(3年屋外暴露に相当)経過しても強度を保持しているという結果が得られています。

PETの対比としてポリオレフィン類(PE、PP)でも同様な試験を実施しています。ポリオレフィン類などでは、紫外線からの劣化を防止するため酸化防止剤や安定剤などが添加されているのが一般的です(PETは未使用)。ある種のポリオレフィンでは、①促進耐候性試験700時間、②屋外暴露試験0.5年で試験片が破損しています。

PETボトルの耐候性試験は、まだすべて終了していませんが、①促進耐候性試験と②屋外暴露試験から、PETボトルは数年レベルではマイクロプラスチックになるような崩壊までには至っていないという結果が得られています。

①促進耐候性試験の引張強度

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