8 推進協議会の取り組み

(1)海外調査
~韓国・中国PETボトルリサイクル技術調査(2019年7月)~

2019年度は、中国の廃プラスチック禁輸措置後アジア圏内で使用済みPETボトルフレークの輸出が増加した韓国と禁輸後の中国に、推進協議会とPETボトル協議会、(公財)日本容器包装リサイクル協会と共同で各国の関係先を訪問しました(2019年7月22日~27日)。

韓国は、マレーシア、ベトナムと並び日本から多くの使用済みPETボトルフレークを輸入し、その数量は2千~5千トン/月です。

韓国のPETボトルのリサイクルは韓国包装材料再活用事業組合(KPRC)と韓国循環支援センター(KORA)が日本の容リ協のような役割を担っています。KPRCが特定事業者(中味メーカーおよび容器包装メーカー)や韓国環境公団などの対応、KORAが回収選別業者や再活用業者への支援金供給などを行っています。2017年韓国のPETボトル用樹脂販売量は約28万トン、同年の再活用率は無色78%、有色76%、複合80%程度でした(再活用率は、おそらくキャップ、ラベルを含んで計算)。日本から輸入された使用済みPETボトルフレークの行方は、KORAの会員会社が輸入品を扱っていないため正確な情報~韓国・中国PETボトルリサイクル技術調査(2019年7月)~韓国KPRC、KORAの皆さんと中国化繊協会訪問を得られていませんが、日本品は安価で、無色透明なため需要が多いとの話でした。また、2018年5月の再活用廃棄物管理総合対策では、2030年までに廃プラスチック発生量50%削減、再活用率70%達成を目指し、PETボトルに関しては有色PETボトルを2020年までに無色化へ変更するという目標が定められていまし。

中国は、前回2018年に訪問した際、使用済みPETボトルフレークの品質基準に関して改定作業が行われ年度内、遅くとも5月には新しい基準が制定され、輸入が解禁される見込みでしたが、今回の訪問時も全くその動きがありませんでした。中国化学繊維工業協会などによると、現在品質基準改定に関して、中国の工業信息化部がまとめ、生態環境部(旧:環境保護部)および税関に改定(案)を提出、承認待ちの状態ですが、いつ承認されるか不明とのことでした。この記事を執筆している2020年8月時点でも、品質基準の見直しは未だ実施されていません。

今後も、国内外のPETボトルリサイクル関連の情報を積極的に収集し、協議会活動に役立ていく予定です。

韓国KPRC、KORAの皆さんと
中国化繊協会訪問

(2)海洋プラスチックごみ問題への取り組み

推進協議会は、2019年度から「海洋プラ問題WG」を立ち上げ、海洋プラスチックごみ問題の中でもPETボトルのマイクロプラスチック問題に取り組んでいます。マイクロプラスチックの実態に関しては科学的に未解明な部分が多いと言われています。PETボトルについても、マイクロプラスチックになるプラスチック製品としてよく取り上げられていますが、昨年度の年次報告書でも報告したように、長期間(約20年)河川に放置されたPETボトルが原形を留めたままでした。推進協議会は、これら回収されたPETボトルの劣化状態を有識者らに助言をいただき、科学的に分析を行いました。

本検討は、2020年2月21日に行われた「マテリアルライフ学会第24回春季研究発表会」で報告(P19参照)し、河川から回収されたPETボトルは、マイクロプラスチックになるような兆候は見られなかったと結論付けています。

また、河川から回収されたPETボトルと同型の新品PETボトルを使用して、促進暴露試験、大気暴露試験などの耐候性試験を実施し、さらなるデータの取得を検討しています。

図14. マイクロプラスチックの生成プロセス仮説

マイクロプラスチックの生成プロセス仮説

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