市町村の取り組み

神奈川県 横浜市

缶・びん・PETボトルを混合収集
市内4か所の施設で選別

横浜市の人口は約374万人、地方公共団体の人口としては日本最大です。世帯数にすると170万世帯以上で、家庭ごみの集積場所は7万5,000か所以上に及びますが、缶・びん・PETボトルの分別率はそれぞれ90%以上と高い水準となっています。現在、横浜市は、缶・びん・PETボトルを混合収集し、市内に4か所ある選別施設で仕分けをしています。高い分別率を支える取り組みと、缶・びん・PETボトルの混合収集について、横浜市資源循環局のご担当者に伺いました。

分別率90%以上を支える啓発活動

横浜市では、2015年度から2018年度にかけて、住民説明会や出前教室、集積場所での啓発など、平均して年1,300件の啓発活動を行いました。
横浜市の転入者は年間約14万人です。これらの方々に区役所では、横浜市のルールや情報をお知らせするための冊子などをまとめた転入者セットを用意し、その中に、ごみと資源の分け方・出し方がわかる冊子を入れています。また、昨年度からは、このセットの中にチラシを入れ、分別アプリや、AIを活用したチャットボット「イーオのごみ分別案内」を紹介しています。アプリは、QRコードからのダウンロードを可能にし、若い世代にも使いやすいように、ごみ分別ゲームを作るなどの工夫をしています。そういった工夫が、一定の効果をもたらしています。
さらに、横浜市は外国人の転入者も多く、外国語での対応も求められています。現在、アプリは英語と中国語、パンフレットは6か国語、簡易版のA3見開きのリーフレットは10か国語を作成し、各区役所の戸籍課、地域振興課資源化推進担当の窓口などで配布しています。
現在、横浜市には18の行政区があります。区の特性にあわせ、各区の収集事務所や区役所がそれぞれ啓発の方法を工夫しています。例えば、南区ではQRコードを付けたシールを集積場所に貼って、スマートフォンで動画のごみ出しルールが見られるようにしています。また、中区の中華街地区では、ごみ収集車から流す収集時の広報テープを中国語で流すなどの取り組みを行っています。

混合収集の現状と今後の方針

日本で最大の人口を抱える地方公共団体である横浜市としては、缶・びん・PETボトルを一括で集めて、選別施設で仕分ける混合収集の仕組みが一番合理的であると考えています。
缶・びん・PETボトルを混合収集から品目別収集へ切り替えた場合、単純に考えると経費や手間が3倍になります。
しかし、混合収集は、びんの破片がPETボトルに刺さったり、PETボトルの中に破片が入ってしまったりと、リサイクルに支障をきたす恐れがあるというデメリットもあります。
一方で、人口減少社会の到来、超高齢社会の進展を考慮すると、分別品目をさらに増やすなどの分別ルールの変更については、さまざまな要素を勘案しながら慎重に検討していくことが必要です。
横浜市では2018年11月から2019年3月にかけて、市内の一部地域で、びんだけを別に回収し、コストや収集物の品質向上などを調査する実証実験を行っているところです。

オール横浜で取り組むプラスチック問題

今、プラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となっています。横浜市では、この問題の解決に向けて、横浜市役所が行う取り組みをまとめた「よこはまプラスチック資源循環アクションプログラム」を、9月末に策定しました。
このアクションプログラムは、廃棄物行政を所管している資源循環局の取り組みだけでなく、横浜市役所全体の取り組みをまとめていることが特徴であり、同様の取り組みを行っている政令指定都市は、現時点では他にありません。なお、取り組みを進めていくにあたっては、プラスチックを悪者にするのではなく、その有用性は認めたうえで上手に付き合いながら、取り組んでいきたいと考えています。

(取材日:2019年9月13日)

横浜市資源循環局
政策調整部 政策調整課担当係長 金田 京平
政策調整部 政策調整課 小森 優樹
家庭系対策部 業務課資源化係 係長 竹下 亜希
家庭系対策部 業務課資源化係 岩崎 奈央
政策調整部3R推進課担当係長 岡本 和寿
政策調整部3R推進課 高橋  賢

左から 小森氏、金田氏、竹下氏、岩崎氏
左から 高橋氏、岡本氏

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