推進協議会の取り組み

有効利用率の試算

有効利用率の試算

上式中、2018年度の指定PETボトルの販売量は626千トン、リサイクル量は529千トンになります(P6参照)。
リサイクル工程で発生する残渣43千トンについて、どの位が熱回収されているか調査をしたところ、35千トンが熱回収されていることが確認できました(海外分については未捕捉)。
また、前述の可燃ごみ・不燃ごみに混入している使用済みPETボトルの概略量60千トンについては、環境省・調査の可燃ごみの有効利用率93.7%を使用し、概略53千トンが有効利用されていると推定しました。
以上より、リサイクル量と残渣の熱回収量および可燃ごみの有効利用量の合計617千トンが有効利用された概略量となり、有効利用率は、概略98%となりました(精度には改善の余地があり、今年度は規模感・把握レベルの参考値です)。
今年度より始めた調査で、規模感が分かる程度の精度とはなりましたが、引き続き、調査を継続し、精度向上に努め、100%有効利用を目指したフォローアップに努めます。

※端数処理のため、数値が合わない場合があります。

(2)海洋プラスチックごみ問題への取り組み

2018年の台風21号、24号で愛知県の庄内川と新川の中堤防に、多数のPETボトルが漂着しました。写真は、2018年10月23日の庄内川河口の状況です。小型PETボトルの発売が解禁となった1996~98年に製造されたグリーン着色のアルミキャップ付き500mlボトルが多数見られました。このことはPETボトルが20年以上も朽ちずに残っていたことになります。
長期間河川に放置されたにも関わらずPETボトルが原形を留めていたということは、PETボトルはマイクロプラスチックになり難い素材と考えられます。推進協議会では、これら回収されたPETボトルをプラスチック劣化の有識者らに助言をいただき科学的に分析(ATR-FTIR、分子量測定、電子顕微鏡観察)をしているところです。
伊勢湾の漂着ごみの研究を行っている四日市大学の千葉教授らと推進協議会は、これら回収されたPETボトルの年代分析を行いました。図13は、漂着したPETボトルの年代別割合を示しています。年代分布では2011年度以降減少傾向が見られます。これは、使用済みPETボトルの回収率の向上に関係する可能性もあり、注目されます。

2018年10月23日の庄内川河口の状況 20年以上前の着色ボトルも散見された
図13.庄内川・新川中堤防の漂着PETボトル年代推定

(3)海外調査 〜中国・タイPETボトルリサイクル技術調査(2018年9月)〜

2018年1月からプラスチック廃棄物の輸入を禁止した中国と、それに代わり輸入量を増した東南アジアのタイに推進協議会とPETボトル協議会、(公財)日本容器包装リサイクル協会と共同でその実情などを調査するため訪問しました(2018年9月12日~19日)。
中国では、輸入した使用済みPETボトルフレークのほとんどは、繊維(短繊維が90%)に使用されています。輸入禁止措置後は、繊維製造の稼働率減、原料として国内の使用済み繊維の利用、バージン材の使用、国内での使用済みPETボトルの調達などで対応していました。2018年5、6月より財務省の貿易統計からはPETフレークの輸入解禁のような動きがみられましたが、当局が運用している品質基準が厳しく、なかなか合格品がでない模様です。そのため各リサイクラーは国内のリサイクル産業の窮状を訴え、規制緩和を中国当局に要望しているとのことでした。この新たな基準は遅くとも来年の5月くらいまでには通るであろうとの見通しでした。
一方、タイでは中国の禁輸措置を受け、使用済みPETボトルのフレークの輸入量が急激に増加しました。しかしながら、汚れのひどい廃棄物や電子ごみなどによる住民の苦情により輸入禁止を発動し、2018年7月から激減しています。統計品目番号新設や原料履歴の証明書など、タイ工業省に陳情も環境省との調整が必要とのことで難航中とのことでした。
この記事を執筆している2019年9月段階で、使用済みPETボトルフレークの品質基準の見直しは未だ実施されていなく、改定(案)は当局に提出しているものの、いつ承認されるか不明であるとのこと。今後中国ではプラスチックくず(統計品目番号で3915と付くもの)を輸入しないものと思われ、禁輸措置が厳格に実施されています。また、タイの状況も同様で、使用済みPETボトルフレークの輸入に制限がかかったままです。
以上のように2018年度は、中国の輸入禁止措置により、日本からの使用済みPETボトルフレークの輸出先が当初はタイ、その後他の東南アジア諸国に変わっていく状況であり、今後も国内外のPETボトルリサイクル関連情報を積極的に収集し、協議会活動に役立てていくつもりです。

インドラマ タイ ナコンパトム工場の皆さんと
第14回中国国際リサイクルポリエステル会議

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