第4次循環型社会形成推進基本計画(2018年6月19日閣議決定)を踏まえ、かつ、「海洋プラスチック憲章」に掲げられた事項や数値目標も含め、プラスチック資源循環を総合的に進めるための戦略(以下、プラスチック資源循環戦略)の在り方について中央環境審議会循環型社会部会小委員会で検討されました。
このプラスチック資源循環戦略小委員会へ、経団連を通して推進協議会としての意見を伝え、また、会員と情報を共有しました。
「プラスチック資源循環戦略」の概要
重点課題 基本原則:「3R + Renewable(持続可能な資源)」
【マイルストーン】
■ リデュース
①2030年までにワンウェイプラスチックの累積25%排出抑制
■ リユース・リサイクル
②2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
③2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
④2035年までに使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクルなどにより、
有効利用
■ 再生利用・バイオマスプラスチック
⑤2030年までに再生利用を倍増
⑥2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入
その他に、海洋プラスチック対策や途上国の支援などの国際展開、技術開発・調査研究などの基盤整備が含まれています。
国はプラスチック資源循環戦略で示されたマイルストーンの中で、「2035年までに、すべての使用済みプラスチックをリユースまたはリサイクル、それが技術的経済的観点などから難しい場合には熱回収も含め100%有効利用するよう、国民各界各層との連携協働により実現を目指します。」としました。
これに先立ち、全国清涼飲料連合会は、2018年11月29日に清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言として、2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指すことを表明しました。これを受けて、推進協議会でも新しい目標として2019年度に「2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指す」を設定しました。
従来、推進協議会では、使用済みPETボトルのリサイクル率の算出を主眼として、資源回収ルートの把握に努めてきました。また、そのリサイクル率については、材料リサイクルだけを対象としてきました。そのため、リサイクルを目的とした資源回収量以外は、未確認となっています。
新たな目標をフォローアップするためには、資源回収ルート以外の可燃ごみ・不燃ごみなどにPETボトルがどれだけ混入しているのかを知る必要があります。また、従来の材料リサイクル量に加え、熱回収された量の把握も必要になります。
以上より、2018年度のデータ集計から、可燃ごみ・不燃ごみへのPETボトルの混入量およびリサイクル時に発生する残渣などの熱回収された量の把握のために新たな調査を開始しました。
2018年度の指定PETボトルの販売量は626千トンで、資源として回収された使用済みPETボトル量は572千トンでした(回収率91.5%)。残りは未確認量となり54千トンになります。推進協議会ではこの未確認量のほとんどが可燃ごみ・不燃ごみへの混入と推定し、その量の調査を行いました。
自治体にPETボトルのリサイクルおよび最終処理状況についてアンケート調査を行いました。712の自治体から回答が得られましたが、PETボトル量調査に役立つ可燃ごみ・不燃ごみの「組成調査」を実施しているのは224自治体でした。この224自治体のデータをもとに可燃ごみ・不燃ごみに混入している使用済みPETボトル量の推計を試みました。人口による拡大推計をした結果、60千トンの使用済みPETボトルが混入している試算となりました。
未確認量54千トンより若干大きな数字となり、精度に改善の余地が残りますが、当初の推定に近いものとなりました。