中国が2017年7月に、同年12月末で生活系固体廃棄物の輸入を停止する旨をWTOに通告したことを受け、日本から輸入した回収PETボトルを原料とする中国の再生事業者の対応や、日本の回収PETボトルのフローへの影響の考察を主要課題として、中国及び台湾の調査を行いました(2017年9月4日~12日)。
訪問面談を行った事業者はいずれも、2018年1月からの回収PETボトル輸入停止は不可避として、すでに対応準備を始めていました。例を挙げると、再生原料使用を社是とする某社は、山東省全域で独自のボトル回収システムを構築し、国内の使用済みPETボトルを安定的にかつ低コストで収集すべく取り組んでいました。また、日本の回収PETボトルの利用最大手の某社は、日本で回収・洗浄・ペレット化まで行う工場を建設し、製品ペレットを中国に輸入して繊維用原料とする計画の実行に着手しているとのことでした。
有力業界団体である再生化繊委員会の秘書長は、輸入停止による再生PET原料の不足から一時的に再生化学繊維の生産が低下するが、政府の環境対策に適応できない中小の会社が退場し、環境対応力のある大手が拡大することで、この産業がより健全で強くなっていく環境になり、業界にとって良いこととの認識を示していました。
聴講した第13回中国国際リサイクルポリエステル会議において、BtoB技術はすでに一定レベルに到達し、リサイクル産業の関心はFtoF(ファイバーtoファイバー)に移っていました。
今回6年ぶりに台湾の実情を調査しました。台湾は人口が約2,300万人で、使用済みPETボトルの回収率は97%の高さを誇っており、日本と同様に国民の勤勉性を感じました。
この記事を執筆している2018年9月の段階で、中国の輸入停止の実施、東南アジア向けのPETボトル再生フレーク輸出の急増と一部輸入国の輸入規制等による向け先や量の変動を受け、従来の輸出を前提とする国内のPETボトル回収・再生フレーク化事業者に混乱が生じているようです。この状況下、再生PET品質の向上等による国内市場の成長により、安定で適切なPETボトルリサイクルフローの構築が求められるところです。
今後も、国内外のPETボトルリサイクル関連の情報を収集し、協議会活動に役立てていく予定です。

第13回中国国際リサイクルポリエステル会議 風景

台湾・行政院環境保護署資源回収管理基金管理会のみなさんと
(公財)日本容器包装リサイクル協会は2017年4月ペットボトルリサイクルの在り方検討会を開催しました。PETボトルリサイクル推進協議会は本検討会の趣旨に賛同し、会長、専務理事が委員として参画、積極的に発言しています。

第5回ペットボトルリサイクルの在り方検討会
2018年1月12日アジュール竹芝 飛鳥の間
<経緯>
2016年5月の第18回産構審・中環審合同会合で取りまとめられた「容器包装リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」の「(2)ペットボトル循環利用の在り方」において、「近年指定法人において有償で取引されている廃ペットボトルについては指定法人において検討することが必要である」とされました。検討するにあたって、有識者、関係者から専門的観点による幅広い意見を得て検討を行うこととなりました。
<検討事項>
<検討会実施状況>
<討議内容>
第4回では、第3回検討会で持越しとなっていた「指定法人ルートの再商品化業務を効率化するための点検作業の実施」に向け、各委員に個別に説明を行った上で、「ペットボトル指定法人ルート運用見直し計画(案)」について承認され、点検作業を進めてきました。結果、重点6項目中、2項目を2018年度実施、2項目を2019年度実施に向け検討、2項目を実施せずとの報告案があり了承されました。
第5回では、「運用見直し計画」の若干の変更が了承されました。また、「入札制度の見直し」については、独自処理市町村の指定法人ルートの勧誘を具現化するために、改めて市町村の意見を聞いたうえで、中国の輸入規制の影響を見つつ、引き続き検討を行うこととされました。(2018年7月時点)
<詳しくは、日本容器包装リサイクル協会ホームページをご覧ください。>