中国政府(国務院環境保護部)は、2017年7月WTOに対し、生活系のプラスチックを含む24品目の固体廃棄物の輸入を年内に禁止すると通告、事後中国国内の該当品目輸入事業者への査察や検査会社(CCIC)への通達を経て政策は実行されています。
2017年8月に環境保護部は輸入廃棄管理目録に使用済みPETボトルが含まれることを明らかにしました。これにより、使用済みPETボトルのフレーク及びベールが禁輸対象に含まれることになりました。2017年夏の時点では異物(廃棄物)を含まない「製品」として対象外ではないかとの期待があったAグレードフレーク(ラベル・キャップ除去フレーク)も、年末の時点で禁輸対象を逃れ得ないことが確実となりました。
以上の経緯から使用済みPETボトルの対中輸出は2018年1月から全面禁止となりました。
図12に、2018年1月から8月までの「使用済みPETボトル(フレーク状のもの)」の日本から中国・東南アジアへの輸出状況を示しました。
中国への輸出は1月から5月まで実質ゼロになりました。ただし、6月から数量は僅かですが再開されています。
1月からゼロになった中国に替わってタイ、マレーシア、ベトナムなどの東南アジアへの輸出が増加しています。6月では2017年の8割を超える量になりました。ただし、7月からは減少傾向になっています。
2018年5月に中国が品質の高いAグレードフレークの禁輸解禁を行うとの情報が流れました。6月より貿易統計にも表れています。
ただし、設定されたフレークの品質基準が非常に高く、合格することが難しい状況であることと港湾での検査体制が十分でなかったことから輸出は少量に留まっています。
中国国内では、使用済みPETボトルのフレークが不足している状況があり、中国・関係事業者の複数の協会が連携し、妥当性のある新たな品質基準を作成するとの情報があります。
この新品質基準を中国当局へ提出し、Aグレードフレークの基準の緩和を目指しているとのことで2019年の実施目標との情報ですが、今後の動きを注視する必要があります。
2018年に入りタイ、マレーシア、ベトナムなどの東南アジアが中国に替わって増加しましたが、タイは7月よりマレーシアは8月よりほぼ止まっている状況になりました。税関の混乱が解消されれば復活するとの見方もありますが、環境問題もあり不透明感が高まっています。