8.事業者の取り組み

JR東日本グループの取り組み

画像:JR東日本資源循環センター

駅・列車ごみのリサイクル率93%を達成

 国鉄の民営化により、1987年に発足した東日本旅客鉄道株式会社(通称:JR東日本)。鉄道の営業エリアは関東・甲信越・東北の1都16県にわたり、1日に約1,750万人が利用しています。
 駅や列車からは日々ごみが排出されていますが、その多くは、新聞や雑誌、飲料容器などのリサイクル可能な資源です。そのため、「新聞・雑誌」「缶・びん、PETボトル」「その他」の3種類(4分別)のごみ箱を駅に設置し、分別収集を行っています。さらに、ごみの発生量が多い首都圏にはリサイクルセンターを設置し、収集後にも徹底した分別を行うことで、再資源化を推進しています。2016年度に駅・列車から排出されたごみは約3.4万トンで、そのうちの93%がリサイクルされました。

グループ内で再資源化まで一貫して取り組む

 駅や列車の清掃、ごみの収集、運搬、再資源化(施設の運営)を担っているのは、グループ会社の株式会社東日本環境アクセスです。清掃スタッフが収集し、各駅の集積所で簡単な分別作業を行ったごみは、早朝に収集車で再資源化施設へ運搬しています。
 2010年に稼働を開始したJR東日本東京資源循環センターは、駅や列車から排出されたごみをはじめ、グループ会社や一般企業から排出されたごみ、自治体で排出された廃プラスチックなどの再資源化(分別・中間処理)を行う施設です。処理能力は年間約17,700トン、1日あたり約63トンあります。
 分別収集された飲料容器と、列車ごみなどの中から「混在ごみ分別ライン」で分別した飲料容器は、「PETボトルライン」「缶・びんライン」でそれぞれ中間処理を行い、再商品化事業者へ引き渡しています。
 2016年度に搬入されたPETボトルは1,839トンで、資源化量は1,360トンでした。内訳は、駅・列車のごみ箱から収集したものが約73%、駅構内の自動販売機のごみ箱から収集したものが約10%、駅ビルや一般の施設などから収集したものが約16%となっています。
 駅のごみ箱が透明になった効果などで以前より分別は進んでいますが、PETボトルの場合は飲み残しのほか、タバコの吸い殻などの異物が中に入っているケースや、プラスチック容器の混入なども目立ちます。飲み残しは機械で分離し、不適合物は手選別で取り除いて、資源としての品質を落とさないよう処理しています。

PETボトルのベール JR東日本資源循環センター(A棟)処理ライン

駅の自販機のごみ箱にもリサイクル促進の工夫

画像:▲ 開発中の新トラッシュボックス

 駅構内に飲料の自動販売機を設置しているのは、2006年にJR東日本グループの飲料事業会社として設立した、株式会社JR東日本ウォータービジネスです。「acure(アキュア)」は、飲料メーカーの枠を超えて商品を提供する“ブランドミックス機”で、約8,300台を展開しています(2017年3月時点)。
 「アキュア」に併設しているトラッシュボックス(オリジナルごみ箱)は、投入口にイラストを表示し、収納部をシースルー化するなど、分別を促進するために工夫されたデザインとなっています。以前は「PETボトル」「缶」「びん」の3種類の投入口がありましたが、収集後の処理ラインにあわせて「PETボトル」「缶・びん」の2種類に変更しました。現在は、首都圏エリアの収集~再資源化を担当する(株)東日本環境アクセスと議論を重ねながら、さらに使いやすい新トラッシュボックスの開発を進めています。改良によりリサイクル工程全体が効率化されれば、資源化された際の品質向上にもつながります。
 2015年からは、一部エリアのトラッシュボックスで回収したPETボトル(年間約250トン)を、「メカニカルリサイクルのボトルtoボトル」※1 へ提供しています。リサイクルで作られたボトルは「アキュア」で販売する商品にも使用されており、自販機を通じてPETボトルリサイクルの輪ができています。

資源循環のリサイクル体系を自ら構築

 JR東日本グループは、分別と再資源化の取り組みに加え、資源の循環利用にも力を入れてきました。2000年には、PETボトル再生繊維を使用した制服をいちはやく採用。2009年には、駅・列車などで回収するPETボトルを原料とした防草シート※2 を開発・実用化し、自社の線路沿線などで使用するというリサイクル体系を構築しました。
 また、新聞・雑誌などの古紙類は事務用紙などに、切符はトイレットペーパーなどにリサイクルして循環利用しているほか、新規事業として、駅ビルやエキナカなどで発生した食品廃棄物を利用する食品リサイクル・バイオガス発電事業にも参入し、2018年には工場の営業運転を開始します。今後もグループ一体となって、資源循環の取り組みを積極的に進めていきます。

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