リサイクルで環境負荷は半減
■評価結果
年次報告書2017においては、2015年度のデータを用いてPETボトルのリサイクルによる環境負荷低減効果を、LCA(ライフサイクルアセスメント)手法により定量的に評価しました。CO2排出量で評価すると、リサイクルしなかったと仮定したCO2総排出量4,311千トンに対し、同年度のリサイクル率86.7%(2017年3月確定値)の達成により、環境負荷は約半分(49.6%)に削減されている結果を得ました。図11に、実績である「リサイクル有り」と、仮定である「リサイクル無し」のCO2排出量をグラフで示し、リサイクル効果を判りやすく表示しています。
図11 CO2排出量削減効果
- ※「原料樹脂・ボトル生産」には、ラベル・キャップとこれらの原料樹脂の生産を含む。
「回収・リサイクル・再利用」の「再利用」とは、再生材料を用いた繊維・シートなどの生産を意味する。
■評価範囲
リサイクル有りの評価範囲は、キャップ・ラベルなどを含むPETボトルに係る資源採掘からボトル生産・供給までの動脈系「A1」と使用済みPETボトルの回収・リサイクル・再利用(再生フレーク・ペレット生産時の有価廃棄物の再生処理を含む)および発生廃棄物の処理までの静脈系「A2」の合計「A1+A2=A」と、再生PET材料の再利用にともなう新規材料の代替「B」を包含するライフサイクルフローとしています。
表4に2015年度の主要基本データを示しました。図12に、PETボトルリサイクルの評価範囲と環境負荷を示しました。
■比較対象(リサイクル無し)
使用済みPETボトルをリサイクルしない場合は、単純焼却、発電焼却および埋め立てによって全量処理するものと仮定し、ボトルtoボトルの無い動脈系「A1’」に廃棄物処理「C1」を加えたフローを評価範囲としました。図13に、リサイクルしない場合を仮定した評価範囲と環境負荷を示しました。
表4 2015年度の主要基本データ
※
- ①総回収量とは、未捕捉分を含めた、回収対象となるボトル・キャップ・ラベル・異物の仮定の総量を表す。
- ②代替PET樹脂量は、リサイクルPET樹脂量から、ボトルtoボトル樹脂量(37千トン)と製品化ロスを除いた重量を表す。
図12 PETボトルリサイクルのシステム範囲と環境負荷
図13 リサイクルしない場合の評価範囲と環境負荷
※
- ①計算に用いた原単位などは、文献などの公表値およびヒアリングによる聞き取り値に基づく推定値を用いています。
- ②本年度の評価においては、年次報告書2016では反映できなかったBtoB材料の要素や 輸出向け一次粉砕フレークの国内除去物の処理を計算対象とすることで、評価の精度の向上を図っています。そのため、本年度の2015年度リサイクル評価結果と、昨年度の2014年度リサイクル評価結果を、直接の比較することはできません。
- ③本分析結果を他の材料の環境負荷と直接比較することは適切ではありません。
- ④図中A1およびA1’(各動脈系)のCO2排出量は、キャップその他のすべての構成要素を包含しているため、P5・図3に表示している2015年度CO2排出量とは大きく乖離しています。
- ⑤端数処理のため、数値が合わない場合があります。