1906年に大阪で「水野兄弟商会」として創業し、今年で110周年を迎えたミズノ株式会社。野球用品の販売に始まり、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、長きにわたり国内のスポーツ界をリードし続けてきました。現在では、世界屈指の総合スポーツ品メーカーとして、国内外から高い評価を受けています。
「健やかなスポーツシーンを人へ・地球へ」のスローガンのもと、環境問題にもリーディングカンパニーとして取り組んできました。今回は、ミズノの「モノづくり」を通した環境配慮活動をご紹介します。
ミズノは、環境に配慮した商品作りを進める中で、独自の環境基準をクリアした商品につける「ミズノ環境ラベル」を1997年に制定しました。これは商品のすぐれた環境側面を評価するもので、リサイクル素材を一定割合以上使用している、端材を有効利用しているなど、環境負荷の少ない材料を用いた商品が多く認定されていました。
そして2011年、商品の一面ではなく商品ライフサイクル全体を対象とした、新たな認定基準として導入されたのが「ミズノグリーングレード」です。商品の「素材調達・生産・輸送・販売・使用・廃棄」の各段階において、環境配慮項目をポイント化。その獲得ポイントの合計でランク付けを行い、「ゴールド・シルバー・ブロンズ」の3つのメダルを認定しています。
環境負荷の少ない素材を使用するほか、生産段階での廃材を抑える、流通を効率化する、使用後の回収・再利用システムを構築する、など評価項目は様々。環境配慮をサプライチェーン全体で考え、あらゆる工程において環境配慮に対する取り組みを一つ一つ積み重ねていくことで、従業員の意識も高まり、消費者にもより伝わりやすくなりました。さらに、スポーツを行う地球環境の変化も捉え、新たな視点も生まれました。たとえば、遮熱効果のある素材でウェアを作ることで、温暖化する環境でも快適に運動できます。スポーツを行い健康を維持することも長い目で見ればエコと捉え、評価項目に加えています。
2011年には環境配慮型商品の売上比率は54.9%でしたが、2015年時点では、全商品の売上のうち84.2%を占めています。また、新商品については99.2%がグリーングレード認定商品となっています。
スポーツ品メーカーとして知られるミズノですが、実は40年以上前から、企業のユニフォームを手掛けてきました。そのコンセプトとして挙げられるのが、3つの「やさしい」です。スポーツウェアのノウハウを活かした、安全快適な「人にやさしい」ユニフォームであること。再生素材を用い、使用後も廃棄するのではなくリサイクルできる、「地球にやさしい」ユニフォームであること。そして、バーコードをつけて管理をサポートしたり、製造工場のCSRを徹底するなど「社会にやさしい」ユニフォームであること。特に、企業の環境配慮に貢献できる「地球にやさしい」素材として、ミズノではPETボトルなどの再生繊維を提案しています。現在、(株)サカイ引越センターなどの企業に提供しているユニフォームは約100万着。その約半数は再生PET素材を使ったものとなっています。
また学校の体操服なども多く提供しており、グリーン購入の観点からも、再生PET素材を使用した商品は受け入れてもらいやすいそうです。国体やインターハイのウェアなども、行政からの要望でエコな素材のものを提供しています。
店頭に並ぶ商品としても、シャツなどウェアのほか、ランニングシューズやウォーキングシューズの人工皮革、メッシュ部分などに再生PET素材を採用してきました。
ミズノでは、環境負荷の低減と環境保全のための取り組みを特別な活動ではなく当たり前のこととして、日々の事業活動に取り入れています。これにより、高いレベルの環境配慮を実現していくと同時に、効率的で無駄のない生産を可能にするという効果も生まれました。持続可能な社会の実現に向けて、ミズノの活動は着実に前進しています。
具体的なところでは、2016年度はミズノグリーングレード認定商品の売上比率90%、2020年までには売上比率100%の達成を目標として、環境配慮型商品の開発・拡販に取り組んでいます。すでにグレードが認定されている商品についても、より良い色のメダルを目指しながら、環境への配慮を追求し続けています。
また、昨年のパリ協定を受けて、今年4月に長期環境方針を新たなものにしました。2030年までにCO2排出量を30%削減するなどの具体的な数値目標をあげ、地球環境の保全に貢献していくための取り組みを進めています。