2015年度のリサイクル率の「分母」となる指定PETボトル販売量(総重量)は563千トンで、前年度比1.1%の減少となりました。国内の指定PETボトルの販売本数は1.0%の伸びでしたが、一層の軽量化が進んだために、ボトルの総重量は減少しました。
一方、リサイクル率の「分子」となるリサイクル量は国内再資源化量262千トン、海外再資源化量227千トンの合計489千トンでした。
この結果、リサイクル率は86.9%で、対前年度4.3ポイントの増加となりました(図4、図5)。
昨年は目標を達成できませんでしたが、今年度は達成することができました。
回収量調査にあたって、市町村回収については、環境省発表速報データを使用するとともに、使用済みPETボトルの回収、再商品化を行う事業者へのアンケート調査を行い、国内リサイクル向けの回収量を集計しています。
また、輸出量調査にあたって、使用済みPETボトルについては、2015年1月より新設された財務省貿易統計の「フレーク状のPETくず(貿易コード391590110)」の実数を使用し、ベール輸出については、バーゼル法輸出入規制事前相談結果集計における一般財団法人日本環境衛生センターの「PETスクラップ輸出量」を使用するとともに、PETくず輸出事業者へのアンケート調査を行い、海外リサイクル向けの回収量を集計しています。
なお、2015年度から財務省貿易統計を使用できるようになったことから、海外資源化量の捕捉量が向上しました。さらなる捕捉向上、精度アップのために引き続き事業系回収量調査活動を続けていきます。
推進協議会では3R推進のため、2016年度からの第3次自主行動計画の中で、「リサイクル率85%以上の維持」を目標として掲げており、推進・啓発活動を実施し、引き続き達成に努めます。
2015年度の米国リサイクル率21.7%や欧州リサイクル率41.2%と比較すると、日本のリサイクル率は引き続き世界最高水準を維持しています(図6)。
2015年度の使用済みPETボトル市町村分別収集量のうち、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(以下、指定法人)への引き渡し量は192千トンとなり、前年度より微減となりました(図7)。
一方、指定法人ルート外の独自処理量は89千トンで、前年度並みにとどまり、独自処理比率は31.7%と未だに高い比率となっています。
(出所)指定法人引き渡し量:公益財団法人日本容器包装リサイクル協会
市町村が独自処理を行う89千トンについて、再商品化事業者が有している再商品化能力(再商品化可能量449千トン)への充足および国内の再生利用市場への再生資源の安定供給のために、指定法人への一層の円滑な引き渡しが求められています。
前年度同様に2015年度も原油価格の低迷が続き、中国の景気鈍化からPET樹脂の市況価格は低迷しました。この影響により、落札単価は-31.0円/kg(上期:-25.3円/kg、下期:-38.0円/kg)と前年度の半額になりました。
2016年度の落札価格は、世界経済の雲行き悪化や原油価格の低迷でPET樹脂価格低迷が継続していることもあり、-25.6円/kg(上期:-20.4円/kg、下期:-32.1円/kg)と下落しました(図8)。
PETくずの輸出量は400千トン前後で推移しており、その大半は中国向けとなっています。
図9は、財務省貿易統計のポリエチレンテレフタレートの「フレーク状のくず」と「その他のくず」の国別輸出量を示します。使用済みPETボトル由来のくずは「フレーク状のくず」に区分され、シートやフィルム由来のくずなどは「その他のくず」に区分されています。使用済みPETボトルのベール品は「その他のくず」に含まれています。
(出所) 公益財団法人日本容器包装リサイクル協会
(出所)財務省貿易統計