7.推進協議会の取り込み

(2)フォローアップ報告会、フォーラム、セミナーなどを共同実施

2014年6月「EU各国の容器包装リサイクル制度調査」(フランス、ドイツ、ベルギー、オランダ)

2014年6月2日から6日の期間、EU4か国のリサイクル事情とシステムを調査しました。
EU27国の廃棄物処理の量は年間で、埋立が9,000万トン(割合37%)、焼却が5,600万トン(同23%)、リサイクル6,160万トン(同25%)、堆肥3,680万トン(同15%)です。多くの国で埋立への規制が強化され、2020年まで30%以下を目標としていますが、それを達成しているのはドイツ、フランスなど8か国のみなのが現状です。
またリサイクル率(熱回収を含まない)でみると、EU平均で40.2%、ドイツとオランダが60%以上、ベルギーが50%以上、フランスが30~40%です。
例えばフランスの制度は、家庭用の容器包装を製造・輸入したメーカーと小売業(あわせて事業者)が収集とリサイクルや熱回収の義務を負っており、それを委託されているのは、政府が認定した市町村の機関です。そして、その費用の大半を事業者が支払っており、委託料は分別収集の対象か対象外かを問わず、すべての容器包装が対象です。
収集はガラスびんを除き、容器包装全般の混合収集です。特に都市部ではごみの混入が多く、このため事業者の費用負担が増大傾向にありますが、比例してリサイクル率が増えているということはありません。
この原因として、事業者による市町村業務の管理が困難であること、またリサイクルが容易でかつ低コストなもののみ分別収集をするなど課題が多くなってきています。
ドイツのデポジット制度では、リターナブル容器の割合が72%を下回った2003年より開始され、デポジット金額はワンウェイ容器が25セント、リターナブル容器が8セントです。この価格差からワンウェイ容器を店頭に持っていく人が多く、制度導入後もリターナブル容器は減少を続け、22%ほどにまでに落ち込んでいるのが現状です。
このように、国により制度も実績も大きく多様化しています。

2014年9月「中国PETボトルリサイクル調査」(浙江省、江蘇省、上海市)

図11. 中国 使用済みPET輸入先

画像:中国 使用済みPET輸入先

2014年9月16日から20日まで、中国を訪問。PETボトルの再生業者の視察や第10回中国リサイクルポリエステル国際カンファレンスへ参加。中国政府の規制動向、技術、マーケット情報を収集しました。
中国は日本の使用済みPETボトルの主要輸出先です。中国でのPETボトル生産量は年間で約400万トン、再生ポリエステル繊維の生産量は約600万トンであり、原料の不足分として約200万トンの使用済みPETボトルくずを輸入し、ギャップを埋めています。
輸入先ではアジアが全体の55%(図11)。国別では日本から輸出される27万トン(2013年)が最も多くなっています。日本の高品質PETフレークが他国のものより品質競争力があるのが理由のようです。
また中国では使用済みPETボトルは有価物です。回収業者や消費者による持ち込みなどで回収され、ほぼ全量リサイクルされていると推測されます。前述した不足分を埋めるためにはPETボトル飲料の需要が増大し、中国国内で回収された使用済みPETボトルのみで再生ポリエステル繊維の需要が満たされなければなりません。しかしながら現状は不足しており、今後も日本からの輸入は続くものと思われます。
再生設備でみると、中国国内の再生ポリエステル繊維の生産能力は900万トン/年と需要を300万トン/年上回っています。大幅な供給能力過剰から稼働率が低下。中国企業は、概して需要より過大な設備を設置する傾向があり、これが供給過剰に拍車をかけていると推測されます。
さらに中国のバージンPET樹脂生産能力も供給過剰にあります。今後も2020年にかけて増設が続く見込みで、供給過剰の解消は当分ない見通しです。供給過剰によりバージン樹脂の相対的価格低迷傾向が続くものと予想され、これがPETフレークの価格にも影響するものと思われます。

スーパーマーケット(上海市)

スーパーマーケット(上海市)

フレーク(慈渓市)

フレーク(慈渓市)

2015年6月「EUのPETボトルリサイクル実情調査」(ベルギー、イタリア、オーストリア、オランダ、スウェーデン)

2015年6月11日から18日まで、EU5か国を訪問し、リサイクル手法の日本との違いを主眼に視察しました。
PETボトルのリサイクル率は、EU全体では約40%と日本に比べ低いもののドイツ、スイス、スウェーデン、ノルウェーでは60%以上のレベルにあり、一方でイギリスなどは30%以下と国により大きく異なるのが特徴です。
その理由として使用済みPETボトルの回収、収集が①デポジット制度、②全面的な事業者の役割、③市町村と事業者の協力など、国によって多種多様であり、これが回収率の大きな差となっているようです。
またカラーボトルが多いのも顕著です。収集されたボトルの色別割合はクリアが16%、ライトブルーが23%(図12)。しかし、クリアが日本のような無色ではなく、ライトブルーが半数近い割合を占めていると推測されます。この理由はマーケティングの観点から色が商品の特徴やイメージを強調するのに有効だと認識されているからですが、日本ではリサイクルの妨げになるという理由から全面的に禁止しています。
再生PETの用途では、ボトルtoボトルリサイクルの飲料用ボトルが、コストダウンにより経済性が確保されて30%と最も多くなっています(図13)。すべてメカニカルリサイクルであり、再生PETの比率はボトル選別とフレーク洗浄の技術の進化により、15~40%であると言われています。

※EUでは、リサイクル率の分母を回収量にしていますが、推進協議会の定義によるリサイクル率で算出(分母を販売量)。

図12. EU 回収ボトルのカラー割合

画像:EU 回収ボトルのカラー割合

図13. EU 再生PET用途別の割合

画像:EU 再生PET用途別の割合

PETボトルのリサイクルは国によって異なります。推進協議会では海外のリサイクル制度やシステム、リサイクラーなどを視察、調査して日本での取り組みの参考にしています。
2014年、2015年の6月に実施したEU視察は、EPR(拡大生産者責任)に対する認識が日本とは異なるEUのリサイクル制度および実情を探ること、一方、中国調査は使用済みPETボトルの主要輸出先である中国での状況を把握することが目的です。

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