8.ステークホルダーダイアログ2012

再生利用市場拡大のためにPart2

~国内循環の意義と使用済みPETボトルの資源価値向上~

画像:ステークホルダーダイアログ2013

 「ステークホルダーダイアログ2013」は初回から数えて6度目となります。
今回のテーマは、昨年に続いて「再生利用市場拡大のために パート2」とし、サブテーマに「国内循環の意義と使用済みPETボトルの資源価値向上」を設定しました。1年を経て、PETボトルを取り巻く国内外の状況も変わってきておりますので、もう一歩踏み込んだ形でご助言などをいただくことを目的としています。


画像:藤波 博氏

藤波 博氏
コーディネーター
公益財団法人 廃棄物・3R研究財団
調査部長

昨年に引き続き進行役を務めさせていただきます藤波です。各主体を代表される皆様には、お忙しい中、ご参集をいただきましてありがとうございます。
さて、今年は容器包装リサイクル法の2回目の見直し時期で、環境省では、「再生資源は、まず国内循環である。」との考え方を打ち出しています。しかしながら、回収PETボトルの資源性が高まるにつれ、海外需要も高まるといった状況があり、国内資源を確保していくためには、容器包装の市町村独自処理の報告義務化あるいは国内に資源を確保するための何らかの仕組みが必要かもしれません。また、再生PETボトルなど流れの「見える化」という意味では、業界から一層の市民向け広報・PRが必要ですし、回収方法の多様化という意味では、店頭回収が重要です。
さらに、産業廃棄物と一般廃棄物の法制度上の関係を見直すこと、流通と自治体などより良い連携や日本容器包装リサイクル協会ルートの入札制度に関する課題などがあります。
いずれにしても、このように課題はさまざまでありますが、本日は、委員の皆様から忌憚のないご意見をお話しいただきたいと思います。


画像:鬼沢 良子氏

鬼沢 良子氏
NPO法人
持続可能な社会をつくる元気ネット
事務局長

市民はPETボトルを自治体のステーションに、あるいは店頭に、きちんとルールを守って、中味の残っていないきれいなものを出しており、市民は当然資源と思っています。それがまさか自治体の独自処理によって一部が海外に輸出されていることも市民の方は知らないのです。そこが大きな問題だと思います。税金を使って回収・運搬し、それが国内で資源として有効に使われ、新しいものに生まれ変わっていると信じています。国内での有効活用の方法および、それを使うことによってどうなるかという情報をきちんと届ければ、自治体に対して辛口に言える市民もいるはずです。
最近では循環型社会や資源循環という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。PETボトルが、ボトルになって戻ってくるというのは、非常にわかりやすく、理想的なリサイクルとして、出す側からすると良い動機付けになります。この例から、日本の社会をどう変えていくか、どういうリサイクルをしていくべきか、再生利用製品の質の良さをもっと明確に発信していくことが大事なのではないでしょうか。いいチャンスだと思います。


画像:古澤 栄一氏

古澤 栄一氏
廃PETボトル再商品化協議会
会長

国内で回収される使用済みPETボトル60万トンのうち30万トン以上が海外に流出する状況が続いています。消費者のみなさんの協力により貴重な資源となっている使用済みPETボトルを国内で循環させていくことが大切だと思っています。2011年から新たにメカニカルリサイクル手法が加わりボトルtoボトル(以下、BtoB)が急速な広がりを見せています。BtoBの拡大は国内循環を促進し、海外流出の縮小につながると期待されています。
一方、日本容器包装リサイクル協会における入札は単価だけの評価軸のため、BtoBなどの国内循環につながる用途での利用を増やそうとしても、再商品化事業者、利用事業者の努力だけでは、難しいところがあります。また、スーパー店頭で回収されているものも、市町村回収と同じく主婦の方の協力により綺麗な状態にあると言えます。これらもBtoBなどの高度な用途で利用できる可能性が高く、今後、さらなる活用について考えていくことも大切だと思います。
今回の容器包装リサイクル法の見直しで、現行入札制度の改善や国内循環の促進につながる方策が議論され、消費者が望むリサイクルのあるべき姿になることを願っています。


画像:岩尾 英之氏

岩尾 英之氏
一般社団法人 全国清涼飲料工業会
専務理事

2012年の清涼飲料業界の販売量は約1977万k l 、500ml PETボトル換算で395億本となります。前年比103.6%で、ここ3年は毎年プラス成長です。その中で、PETボトルは、全容器中の構成比67.8%を占めています。
今後も、消費者の支持を得て伸びる状況にあると思います。今までは、繊維やシートにリサイクルされてきましたが、近年、ボトルtoボトルという水平リサイクルが実用化されました。業界では、安定供給などいくつかの課題はありますが、増やしていこうとする動きになってきています。
やはり、元の形に戻る水平リサイクルが消費者にとっては一番わかりやすい形であると思いますので。
PETボトルのなお一層の国内循環の推進に関して、飲料事業者としては推進協議会と連携して、対外的な広報などについて、さらに努力していきたいと思います。


画像:百瀬 則子氏

百瀬 則子氏
ユニーグループ・ホールディングス株式会社
環境社会貢献部長

最近まで、お客様はリサイクルPETの品質や安全性にアレルギーがあると思っていましたが、昨年店舗でPET to PETの仕組みを展示した際、どのお客様からも「リサイクルPETだから嫌だ」とは言われませんでした。食の安全にすごく厳しい日本の消費者が嫌と言わなくなったことは、日本のリサイクルを信頼しているからです。ですから、ボトルtoボトルも今後お客様に受け入れられていくでしょう。
スーパーの店頭回収は、現在の廃掃法などの法令では、産業廃棄物扱いにされたり、自治体によっては移送制限があります。また回収されたPETボトルが何にリサイクルされているかはっきりしないなど、不備な点をいろいろと感じています。
現実には店頭回収PETボトルは有価で取引きされていますし、単一素材で高度なリサイクルができる特性もあるので、小売業や一般市民は古紙や金属などの専ら物※1に近い価値観を持っているのではないでしょうか。
当社は店頭回収を積極的に行っています。それはお客様と一緒にリサイクルの環を構築し、循環資源として製品の原料に利用することで、廃棄物削減と再生資源の利活用につなげたいとしているからです。また販売した製品が不要になったら回収して、再生することは小売業の役割だと思っているからです。ですから、この役割を果たしやすいように法令の改正や、再生資源化への仕組みが変わってくれるとありがたいと思っています。

※1 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物。古紙、くず鉄、あきびん類、古繊維の4種類。

推進協議会からのコメント

本日は昨年からの課題を引き継いでもう一歩進めての沢山のご意見、ご指摘をいただきましたことに感謝申し上げます。今後の方向について、私どもの仕事の中には、二つの大事な視点があると考えてきました。一つ目は、事業者が循環型社会を形成する一端を担う形で、再生利用製品の価値をできるだけ高めていくための解決策を提示すること。二つ目は、リサイクルを行うプロセス全体を合理的に維持発展させ、その情報を、さまざまなステークホルダーにいかに的確に提供していくかということです。本ダイアログを通して、これらのことを改めて認識し、意を強くしました。
価値の向上については、メカニカルリサイクルによるボトルtoボトルの事業化がイメージされますが、ご出席の皆様方のご支援を強く感じ取りました。消費者の方々に信頼感を持っていただいていることが分かりましたことも、今後に対する強い追い風であると思います。
一方、従来のリサイクル手法とのバランスも重要なことと認識しました。
情報提供については、その内容を的確に市民の方々に伝え、また、自治体の方々にもしっかりと納得していただき、その結果として国内循環につながっていくというプロセスが重要であるとの認識です。
以上のふたつの視点が相互に影響し作用して、消費者と市町村の方々のご理解を深め、リサイクルの安定化が見えてくるものと願っています。
また、リサイクル基盤をサポートする入札制度のレビューや対応については、今年度から指定法人、関係3省とともに検討をすすめているという状況にあり、タイムリーな対応を検討しているところです。さらに今秋より容器包装リサイクル法の見直しが行われます。3Rへの取り組みの成果を確認しつつ、今後へ向けての方向性が打ち出されるものと思います。業界の一員として、また消費者の一人として、法見直しの審議により、PETボトルのリサイクルがなお一層発展できるよう期待しています。

画像:会長 水戸川 正美

会長
水戸川 正美

画像:専務理事 宮澤 哲夫

専務理事
宮澤 哲夫

画像:広報委員長 一般社団法人清 涼飲料工業会 環境部長 秋田 光彦

広報委員長
一般社団法人
清涼飲料工業会
環境部長
秋田 光彦

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