4.Reuse(リユース)

リユースに近いボトルtoボトル(BtoB)への取り組み

リユースが困難なPETボトル

1)安全性の問題

リターナブルPETボトルは予期せぬ汚染(悪意はなくとも飲用済みPETボトルを農薬など、人体にとっての危害物質の一時保管に用いることなど)があった場合、PETボトルに吸着された汚染物質を現在の洗浄技術・検査技術で完全に除去することは困難です。
(出典)食品衛生学会誌Vol.52, No.2

2)環境負荷の問題

リターナブルPETボトルは、空ボトルの回収率が90%以上で、工場から販売拠点までの輸送距離が100km未満という非常に限られた条件下でのみ、ワンウェイPETボトルより環境負荷が小さくなります。
(出典)環境省「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」中間取りまとめ2009年8月

3)リユースに適するための条件

(1)(2)で述べた問題点に十分対処することはもとより、PETボトルに吸着されるような香味物質を含まない中味に限定して取り扱うことが必要です。それらの条件がクリアされることで、会員制宅配のようなクローズドシステムの中でPETボトルのリターナブルシステムを運用できる可能性があります。

リターナブル市場の推移

1)日本におけるリターナブル容器とワンウェイ容器の推移

図2は1995年からの5年ごとの清涼飲料の容器別生産量を表していますが、リターナブル容器(ガラスリターナブルびん)の生産量は減少し、2010年は容器全体構成比0.68%とごくわずかな比率です。 その理由は、ライフスタイル・流通販売・社会構造の変化によるものと思われます。

図2 清涼飲料容器別生産量推移

図:図7 清涼飲料容器別生産量推移

(出所)一般社団法人全国清涼飲料工業会「清涼飲料関係統計資料」

2)ドイツでリターナブル容器が減少

世界に先駆けてリターナブルPETボトルを導入したドイツでは(1986年)、包装廃棄物令(強制デポジット法)が施行された2003年に一時的にリターナブル容器比率が55.2%に増加しましたが、2004年以降は減少傾向が続き、2011年にはその比率が22.4%まで低下しています(図3)。

図3 ドイツでのノンアルコール飲料の容器構成

図:図3 ドイツでのノンアルコール飲料の容器構成

(出所)Gfkコンシューマースキャン

ボトルtoボトルリサイクルへの取り組み

ボトルからボトルへ ― 高度な水平リサイクル

PETボトルは前述のようにリユースには適しませんが、リサイクル工程の汚染除去能力を高めることにより、飲料食品用途のPET樹脂に再生でき、BtoBというリユースに近い高度なリサイクルが実現しています。
BtoBの手法には以下に述べる化学的再生法と物理的再生法がありますが、どちらも安全性(不純物の除去)に問題のないことを認定する仕組みが整い、認定されたリサイクル設備が使用されています。

1)化学的再生法(ケミカルリサイクル)

2004年内閣府食品安全委員会で安全が認定された方式で、使用済みPETボトルを化学的に分解する過程で不純物を完全に除去し、再度PET樹脂に合成します。石油を原料とするバージン樹脂と同等品質となります。

化学的再生法(ケミカルリサイクル)

2)物理的再生法(メカニカルリサイクル)

通常のマテリアルリサイクル工程に、アルカリ洗浄工程と高温・減圧等の物理的高度処理を付加することにより、不純物を除去します。米国FDA(食品医薬品局)の安全性認定を受けたシステムが世界各国で稼働しています。日本でも2011年にBtoBの同システムが導入されました。
 また2012年4月厚生労働省から通知された「食品用器具及び容器包装における再生プラスチック材料の使用に関する指針(ガイドライン)」により、日本における安全性認定の仕組みが整いました。

物理的再生法(メカニカルリサイクル)

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