1.2011年度の使用済みPETボトルのリサイクル

2011年度リサイクル率は85.8%で前年度比2.2ポイント増加

国内再資源化量は24千トン増、海外再資源化量は横ばい

2011年度のリサイクル率の「分母」となる指定PETボトル販売量は、604千トンで、前年度比1.3%の増加となりました。
一方、リサイクル率の「分子」となるリサイクル量は国内再資源化量265千トン、海外再資源化量253千トンの合計518千トンで、前年度と比べて4.0%増でした。その結果、リサイクル率は85.8%で、前年度比2.2ポイント増加しました(図1)。
この要因は後に詳しく述べますが、事業系回収量の把握が進んだことに起因します。推進協議会では3R推進のため、2015年度までの第2次自主行動計画の中で、「リサイクル率85%以上の維持」を目標として掲げており、2011年度は目標値を達成することができました。

図1 国内再資源化と海外再資源化

図:図1 国内再資源化と海外再資源化

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リサイクル率算定方法について

リサイクル率は以下の数値より算定しています(図2)。
「分母」の指定PETボトル販売量は、国内製品販売量と輸入製品販売量の合計値(推進協議会調べ)。「分子」のリサイクル量は国内向け回収量(市町村回収および事業系回収)から算出した国内再資源化量とPETくず輸出量から算出した海外再資源化量の合計値。
なお、再資源化量は、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会および推進協議会調べの再資源化率(回収物からのリサイクル物製造の割合)から算出しています。

図2 「リサイクル率」の算定フロー

図:図2 「リサイクル率」の算定フロー

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回収・リサイクルに関する推進協議会調査の強化

回収量調査にあたって、市町村回収については、環境省発表データをもとにしています。一方、事業系回収については、推進協議会がアンケート調査を実施し、使用済みPETボトルの回収、再商品化を行う事業者約250社からの回答をもとに、集計してきました(第三者調査機関へ委託)。
しかし、特にここ数年、事業系使用済みPETボトルの回収ルートが多様化したことなどを背景に、我々が把握できていない回収業者が多く存在し、データの捕捉が十分にできていませんでした。
そこで、今回は新たな使用済みPETボトルの取り扱い事業者を把握するため、ヒヤリングやアンケートを行い、約1000社への回収量調査を実施しました。今回の調査では、701社から回答を得ることができ、そのうち新規回答事業者から、事業系回収量として45千トン分のデータを上積み把握することができました。しかし、アンケート調査の回答率が、まだ十分に高いとはいえず、引き続き捕捉向上のための活動を続けていきます。

回収率高水準を維持

欧米で使用されている指標の回収率で比較すると、日本はこれまで通り高水準をキープしています。(図3)
※日本の回収率はP3(図5)に記載の従来の回収率を表記しています。

図3 日欧米のPETボトル回収率比較

図:図3 日欧米のPETボトル回収率比較

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(出所)○米国=NAPCOR ○欧州=PETCORE ○日本=PETボトルリサイクル推進協議会

従来の回収率から、リサイクル率へ指標を変更

「従来の回収率」は、環境省公表による市町村分別収集量と、推進協議会調査に基づく事業系回収量とを分子にしていました。
近年では使用済みPETボトルの海外輸出が年々増加しており、従来の調査による回収率では十分に実態を反映した結果になっていません。
推進協議会では2006年度よりPETくずの貿易統計量をもとに、使用済みPETボトルの輸出量の推計を試みてきました。そこで、使用済みPETボトルの輸出量と国内向け回収量を調査・把握した結果、新たに捕捉できた回収量として、2011年度は173千トンの存在が分かりました(図4)。
そして、最終的にキャップ・ラベルを含まない再生材料としてリサイクルされるまでの「リサイクル率」の算出をしました。
第2次自主行動計画は、使用済みPETボトルの再資源化量をより実態に即して把握し、指標を回収率からリサイクル率に変更、「リサイクル率85%以上の維持」を目標に挙げています。推進協議会では、より精度の高いリサイクル率の把握に向けて、今後とも努力していきます。
参考までに従来の回収率の推移を図5に示します。

図4 「従来の回収率」と新定義「リサイクル率」の比較

図:図4 「従来の回収率」と新定義「リサイクル率」の比較

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千トン未満を四捨五入してあるため、合計数値があわない場合があります。

図5 PETボトルの回収率(従来指標)の推移

図:図5 PETボトルの回収率(従来指標)の推移

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(出所)

市町村分別収集量は環境省資料(2011年度は速報値)

事業系回収量・事業系ボトル回収量・指定PETボトル販売量はPETボトルリサイクル推進協議会資料

樹脂生産量は、指定PETボトル用樹脂の生産量。PETボトル協議会資料

千トン未満を四捨五入してあるため、合計数値があわない場合があります。

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