8.円滑な引き渡し

使用済みPETボトルについての環境省・経済産業省コメント

「推進協議会 広報誌『RING』(2011年4月発行)への寄稿要約版」

使用済みPETボトルの国内資源としてのあり方について(環境省 森下室長)

画像:環境省 大臣官房廃棄物・リサイクル対策部 企画課リサイクル推進室 森下哲 室長

市町村により分別収集された使用済みPETボトル等については、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成18年法律第76号。以下「改正容器包装リサイクル法」という。)の施行に伴い、改正された容器包装廃棄物の排出の抑制並びにその分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針により、市町村により分別収集された使用済みPETボトル等については、指定法人等に円滑に引き渡すことが必要であることを明らかにしています。
また、基本方針においては、廃PETボトル等の分別基準適合物を市町村が指定法人以外の事業者に引き渡す場合にあっては、「分別収集された容器包装廃棄物が環境保全対策に万全を期しつつ適正に処理されていることを確認することが必要である。同時に、市町村は、このような容器包装廃棄物の処理の状況等については、住民への情報提供に努めることが必要である。」としています。
そのため環境省では、自治体に対して、使用済みPETボトルの再商品化のための円滑な指定法人等への引き渡しの推進を強くお願いしてきたところです。
しかし、使用済みPETボトルについては、インドでの綿花の不作等による代替原料としての需要の増加等により、海外での需要が高まっている状況にあります。例えば、中国では法改正(2009年8月)によりこれまで禁止していたベール(PETボトルを切り刻まずにそのまま圧縮・梱包したもの)での輸入を解禁し、昨年12月にはベール輸入の認定第一号が出されており、今後の動向を注視していく必要があると考えています。
主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国にとって、使用済みPETボトルなどの循環資源を有効に活用するためのシステムを国内で維持していくことは極めて重要であり、そのためには再商品化の安定的な実施が前提となります。

中国における使用済みPETボトルのベールでの輸入解禁に思う(経済産業省 岡田前課長)

画像:経済産業省 産業技術環境局 リサイクル推進課 岡田俊郎 前課長

使用済みPETボトルの輸入を破砕済み品に限るとしてきた中国が、昨年2月に一定の条件を満たす圧縮・梱包品に関する輸入の解禁を行いました。
PETボトルのリサイクルは容器包装リサイクル法に基づく日本容器包装リサイクル協会による入札を通じた処理が基本ですが、このルートを使うか使わないかは自治体の判断に委ねられ、使わないとなれば市町村が独自の判断で選定したルートで処理されます。
この場合、環境省から累次発出されている通知のごとく、分別収集されたPETボトルは環境保全に万全を期しつつ適正に処理されることが大原則であり、中国に輸出される場合にも市町村は中国国内における取扱いを含めて自ら適正処理が確実に遂行されていることを確認するべきです。
適正処理が担保され、市民との間でアカウンタビリティが果たされれば、あとは経済原則に基づきグローバルなモノの流れが生ずることは当然とする考え方もありますが、我が国は、国家政策として循環型社会形成を推進しており、その中でリサイクルすることは当然であります。
PETボトルについても、リサイクルによる石油資源の節約、再生資源の主要利用先である繊維産業等の国内外の状況、PETボトルの材料としての再利用可能性など、冷静かつ客観的な検証を行いつつ、リサイクルの在り方を突き詰めていくことが重要です。
また、高値買取りに誘発されるような形で独自処理を選択する市町村が少なからず存在し、その背景に、分別収集・選別保管に必要な経費の増嵩のあることも事実であり、改善に向けた検討が必要とされます。
PETボトルリサイクル制度の改善とさらなる安定化に向けては、以上に述べた論点を踏まえ、動脈・静脈双方のバリューチェーンを繋ぐ関係者相互の連携と共創を一層強固なものとしていくことが不可欠です。

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