5.Recycle(リサイクル)

(1)2010年度使用済みPETボトルの回収・リサイクルに新たな局面

前年度に続き市町村の指定法人引渡し量が増加

2010年度の使用済みPETボトル市町村分別収集量のうち、指定法人である公益財団法人日本容器包装リサイクル協会への引渡し量は194千トンで前年度を2.6%上回り過去最高となりました。これは前年度に続いて市町村からの指定法人への円滑な引渡しが促進されたことによります。また、指定法人ルート外の独自処理量は、92千トンで前年度より2%増、市町村における独自処理比率は32%とほぼ前年度並みとなりました。

図7 指定法人引渡し量および独自処理量の推移

図:図7 指定法人引渡し量および独自処理量の推移

独自処理量の算出根拠となる数値を「分別収集実績量」から「再商品化量」に変更しました。

(出所)

再商品化量(環境省速報値):分別収集実績量から異物等を取り除いた後、再商品化事業者に引き渡された量

指定法人引渡し量:公益財団法人日本容器包装リサイクル協会

独自処理量:「再商品化量-指定法人引渡し量」(2011年度は独自処理予定量:[分別収集計画量-指定法人落札量])

指定法人落札価格の有償化に勢い

2010年度入札は平均22円の有償となり、市町村への有償拠出金は約42億円となりました。2011年度においても平均48円の有償入札となり、2010年度に倍する有償拠出金が市町村に支払われることになります。

図8 指定法人の落札単価と有償額

図:図8 指定法人の落札単価と有償額

(出所)公益財団法人日本容器包装リサイクル協会

中国需要そしてベール輸入の解禁

使用済みPETボトルの海外需要に大きな変化は認められず、海外輸出もほぼ前年並みに推移しています。
しかし、日本国内の買取価格の上昇、円高や中国の金融引締めによって、中国での買付けが手控えられているという見方もあります。輸出が頭打ちとなるか否かは、今しばらくの見極めが必要です。
また一方、中国のベール輸入解禁の動きに注意が求められます。
2004年5月に中国において発生した日本からの「その他プラくずでの不適切品の輸入問題」を契機に、2006年1月、経産省および中国政府は輸出適合品を「再生できるように、分別・裁断・洗浄が必要」と判断しました。ところが、中国は、自国の再生事業者からの要望を受け、2010年2月「輸入廃PETボトルベールの環境保護コントロール」としてベール(圧縮梱包)のままでの輸入を解禁しました。2010年度には複数の中国企業がベール輸入の登録承認を受けています。ベールでの日本からの輸出実績はまだありませんが、中国のベール輸入解禁によって国内資源の流出が加速し、国内のリサイクルシステムの基盤をゆるがしかねないという視点から、重大な問題です。

円滑な引渡しのさらなる促進

市町村が独自処理を行う92千トンについて、再商品化事業者が保持している再商品化能力への充足、そして、日本国内の再生利用市場への再生資源の供給のために、指定法人へのなお一層の円滑な引渡しが求められています。
円滑な引渡しとリサイクルの高度化によって国内の再生利用市場を拡充し、国内のリサイクル基盤を磐石なものに変革していかなければならないと考えています。

図9 PETくず輸出量(暦年)向け先別推移

図:図9 PETくず輸出量(暦年)向け先別推移

(出所)財務省貿易統計

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