8. ステークホルダーダイアログ2009
推進協議会活動のさらなる発展に向けて
2008年度の「年次報告書を読む会2008」に引き続き、2009年度は、有識者やNPO、自治体、再生事業者を委員としてお招きし、推進協議会活動のさらなる発展を目的とした「ステークホルダーダイアログ2009」を開催しました。
今回のダイアログでは、PETボトルリサイクルのあり方について、委員への事前ヒアリングを行い、ご意見の多かった2つのテーマ「PETボトルの3Rに関する社会への情報発信・広報・啓発活動のあり方」、「安定的なリサイクル基盤構築」について意見交換を実施しました。なお、自治体代表の柏市の石名坂氏には、千葉大学講師というもう1つの立場で座長をお願いしました。
以下に、いただいたご意見の概要を掲載します。
ステークホルダーダイアログ2009の様子(2009年7月28日開催)
石名坂賢一氏
柏市役所企画部企画調整課主査
千葉大学園芸学部非常勤講師


柏市では、過去一時期、一部の使用済みPETボトルを中国輸出ルート等に回していました。それがマスコミ報道などで、輸出先で本当にリサイクルされていて、安定的にかつ安全に処理されているかが疑問となりました。柏市としては、市民が出したPETボトルが輸出先に環境負荷を与える可能性を考慮して輸出ルートを止め、安定的な処理とトレーサビリティの観点から全量を容リ協ルートに戻しました。自治体の責任としては財政的な効果もありますが、最終的にはリサイクルの安定基盤を確保することが一番重要だと思います。

内海正顕氏
ウツミリサイクルシステムズ株式会社社長


「用途有りき」がリサイクル事業の基本概念です。従って、回収率やリサイクル率も大事ですが、再利用の実態を捕捉し「見える化」していただきたい。特に内需が重要で、そのためには、リサイクル品の品質安定化が大事で自主設計ガイドラインの遵守に期待します。また薄肉化の行き過ぎは選別工程での収率悪化という新たな課題が懸念されますので、ラベルの分別とともに検討願いたい。さらに需要基盤の確保策として、@メカニカルリサイクル品の食品用途への展開 Aリサイクル品の存在感増大のため、推奨マークの認定基準での再生材使用率の引上げが望まれます。

鬼沢良子氏
NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット事務局長


市民は自分達がきちんと分別して出したPETボトルが、どんな流れでリサイクルされ、どんな物になるのか非常に興味があります。それには、再商品化の流れや再利用品などを現物で具体的に見せる「見える化」が必要だと思います。
これによって、市民はリサイクルの意義を理解し自分たちの役割を認識します。
自治体によって分別方法などの情報にバラツキがあったり、マスコミ報道などで間違った情報が流れると誤解を招くので、「見える化」によって常に正しい情報を伝え、正しい判断ができる市民の育成や行動につなげることが、これからの情報発信、広報、啓発活動のあり方だと思います。

園田真見子氏
NPO法人埼玉エコ・リサイクル推進協議会理事


各市町村で回収されたPETボトルがどれくらいリサイクルされているのか、国が出している情報なども上手く利用して、市民に対して繰り返し説明を行っていくことが必要だと思います。各地のリサイクルプラザなどの説明者への教育が、正しい情報を効率的に市民に広げていくのに有効ではないでしょうか。
リユースに関しては、例えばマイボトル持参のような、よりローカルなところで自己管理できるものは推奨するなど、TPOを考えてふさわしいものは進めて行くべきだと思います。

中野加都子氏
神戸山手大学現代社会学部環境文化学科教授


PETボトルは身近な存在ですが、その使用や3Rについては消費者に「負い目」や「誤解」があります。「リユースすべし」論については、ボトルの品質管理上からみた安全性や環境負荷、国情の違い等についての情報を、リサイクルについては再商品化の流れ・再利用品の「見える化」によって消費者が納得・安心してリサイクルに参加出来るよう広報に努めるべきです。
現行の容リ法、リサイクルの仕組みについては、将来、日本の「仕組み+技術」がアジアのPETボトルリサイクルの手本となるよう、まずは国内で安定的に循環が進むよう、各主体が協力すべきだと思います。
推進協議会からのコメント
今回のダイアログで、それぞれのお立場から、PETボト ルの3Rを推進する為の主体間連携のあり方について大変有意義なご意見をうかがえたことに心より感謝いたします。
「リサイクルの見える化」を始めとする消費者の皆様とのコミュニケーションに関するテーマでは、事業者による直接的な消費者一人ひとりへの働きかけには限界があり、市民団体のリーダー、3Rマイスター、リサイクルプラザの指導員といった、より消費者に身近な皆さんとの連携を強化することにより、情報やメッセージを従来とは異なるスケールでお伝えできるという具体的なアドバイスをいただきました。今後、自治体やリサイクルプラザの方々とさらに意見交換を行い、わかりやすい情報を、確実に皆様にお伝えすることができる仕組みやツールを開発してまいります。
また、「安定的なリサイクル基盤作り」では、LCAやコストだけではなく、再商品化において国内登録再生処理事業者(「PETボトル再商品化施設」参照)並の環境配慮がなされているか、トレーサビリティーが確保されているかという視点を十分に評価すべきことを、国・自治体・事業者へ働きかけていきます。
さらに、国内における付加価値の高い再利用製品の開発、グリーン購入指定品目としての需要拡大を目指し活動を強化してまいります。
推進協議会の出席者
推進協議会
会長
林伸行
推進協議会
副会長
公文正人
推進協議会
専務理事
松野建治
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