PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.36

特別対談 環境先進都市・東京へ-持続可能な世界をめざして-

2020年に東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、国内外からの注目が高まる東京都。
持続可能な社会の実現に向けた東京都の取り組み、資源循環・リサイクルの今後、
そして大会を通じて世界へ発信していくメッセージについて、小池都知事にお話を伺いました。

小池 百合子 氏

小池 百合子 氏

東京都知事

1976年 カイロ大学文学部社会学科卒業
ニュースキャスターなどを経て
1992年 参議院議員初当選
1993年 衆議院議員初当選
2003年 環境大臣
以降、防衛大臣、自民党総務会長などを歴任
2016年7月 女性初の東京都知事に就任

宮澤 本日は、ご多忙の中お時間をいただきまして本当にありがとうございます。
 私どもの協議会は、小池都知事が環境大臣を務められていた時代に一度インタビューをさせていただきました(2004年発行「RING vol.14」掲載)。そのときから考えますと、PETボトルのリサイクルはこの14年で随分様変わりしました。当時の回収量に対して現在は倍ぐらいの量を回収しており、リサイクル率も85%程度になっています。それから、PETボトルからどのようなものになっているかというと、本日こちらにお持ちしたような日用品をはじめ、さまざまな製品に再生されております。
 私どもは、市民の分別排出というのは国際的には文化であるといってよいほど特徴的なものと捉えておりまして、日本人の勤勉さがこれを支えてきたのだろうと思っております。協議会でも、市民への啓発として情報を発信しています。
 都知事に環境大臣当時のインタビューでアドバイスしていただいた通り、PETボトルのリサイクルは順調に進んでいるという状況です。

小池 なるほど。ありがとうございます。

環境に優れた“スマートシティ”東京をつくる

森 泰治

森 泰治

PETボトルリサイクル推進協議会 会長

1978年 東洋製罐株式会社 入社
2015年 資材・環境・品質保証本部長
2017年 取締役常務執行役員
2017年 PETボトル協議会会長および
    PETボトルリサイクル推進協議会会長に就任

 東京都では、店頭回収PETボトルの再生利用推進など、国に先駆けた取り組みを行っておられますね。国の3R政策、リサイクルの立ち位置などいろいろございますが、この辺について、都知事としては今後どうするべきだとお考えでしょうか。

小池 環境大臣当時、“Reduce, Reuse, Recycle”の3Rが、小泉総理(当時)の提唱によってG8の会議(シーアイランド・サミット)で「3Rイニシアチブ」という文言、最終ステートメントにちゃんと盛り込まれるなど、循環型経済のモデル構築について日本が世界をリードしてきたという自負がございます。
 先ほどお話がありましたように、この十数年間で、まず日本全体における3Rの動きが、業界の皆様、消費者の皆様、生活者の皆様と、うまく相まって、PETボトルのリサイクル率も85%というところまできました。さらに、2020年にはオリンピック・パラリンピックを控えておりますが、私自身が都知事として取り組んでいるのが、3つのシティを実現し新しい東京をつくる「2020年に向けた実行プラン」です。その中に“スマートシティ”ということを標榜しており、“環境に優れた都市、東京を”と申し上げております。
 ですから、日本全体の動きと、それを牽引する形で東京都が率先して進めてきた動きとが相まって、それがメッセージになって、さらに世界へとPRしていくことが、結果として日本・東京の価値を高めていく。そして日本が、それをさらに東京都が牽引していく形で、持続可能な社会、持続可能な世界をつくることにつながっていくのではないかなと思っています。
 東京都は環境面において、国全体で進める前にいろいろ先導役を務めてきていますが、スマートシティの実現に向けて、これからも引っ張っていきたいと思っております。

  • スマートシティ
    東京都が2016年に策定した「都民ファーストでつくる『新しい東京』~2020年に向けた実行プラン~」の中で掲げる、“3つのシティ(セーフシティ・ダイバーシティ・スマートシティ)”のひとつ。「スマートシティ=世界に開かれた、環境先進都市、国際金融・経済都市」を実現し、「成長を続け活力にあふれた持続可能な東京」をつくることを目指している。

東京2020大会で「もったいない」を世界へ

中田 雅史

中田 雅史

PETボトルリサイクル推進協議会 副会長

1986年 アサヒビール株式会社 入社
2012年 アサヒ飲料株式会社 理事
2017年 一般社団法人全国清涼飲料連合会 専務理事
2017年 PETボトルリサイクル推進協議会副会長に就任

中田 環境先進都市東京において、2020年にはオリンピック・パラリンピックというビッグイベントが開催されます。その際に、環境あるいは3Rという視点における日本・東京の素晴らしさを、世界の方々に対してどのようなメッセージとして発信していかれるのか、お聞かせください。

小池 ワンガリ・マータイさんが世界に広めた「もったいない」には、日本の美徳が集約されています。東京2020大会は、それをまた改めて世界に発信するチャンスではないかなと思っております。復興五輪などいろいろなネーミングがついていますが、その中で「MOTTAINAIオリンピック・パラリンピック」ということも1つの発信になるのではないかと考えています。
 また今年5月に、環境に関する国際会議を東京都として主催することといたしまして、世界のメガシティとの連携、世界の姉妹都市などの関係で、市長さんたちをお招きしております。その会議も、持続可能性、日本がこれまで進めてきた環境対策、そして「もったいない」という精神を皆さんにお伝えする機会にしていきたいと思っております。

資源の循環で持続可能な地球に

宮澤 哲夫

宮澤 哲夫

PETボトルリサイクル推進協議会 専務理事

1978年 東洋製罐株式会社 入社
2005年 生産技術部部長
2007年 環境部長
2013年 PETボトル協議会およびPETボトルリサイクル推進協議会専務理事に就任

 以前は循環型社会、今は持続性社会と、言葉は変わってはおりますが、だんだんレベルが上がっているような感じがいたしますね。気候変動対策にも随分と取り組んできましたが、やはりここ5年、10年は、持続性社会を目指してあらゆることを考えていかなければいけない時代になったということでしょうか。

小池 そうですね。地球全体を考えてみますと、環境に対しての意識も、まだら模様ではありますけれども、10年、20年前からすればかなり変わってきたと思います。それを日本と東京が先導してきたという自負もございます。
 そして、例えば国内で廃棄物の回収率が大変高くなっているということで、これはまた世界をぐるぐる回っていますよね。今は大変なときではないかと思っておりますけれども。うまく回ることによって、資源は無限ではなく有限だということをみんなで共有して、それが新しいビジネスや新しい技術を生み出すことにつながっていけば、それこそ持続可能な地球、世界になるのではないかと期待しています。

宮澤 ご存知のように、今年1月から中国の廃プラ禁輸措置が始まりまして、今、世界的にはPETボトルが溢れるのではないかと心配される状況になっています。幸い日本では自治体回収がしっかりしており、事業系の回収の方で多少混乱はあるかもしれませんが、新たな資源化に向けての設備投資も始まると聞いています。世界的に見ればPETボトルは有償で回っていることから、この問題に関しては遅れながらも少しずつ対応している状況と考えております。

中田 都知事もおっしゃられたとおり、「もったいない」という精神が原点なのだろうなと思います。85%リサイクルされているからいいということではなく、さらにもっと高度化して、日本あるいは世界を見据えた循環型へ、そして持続性のある社会へ、という形で進めていかなければならないと考えております。

  • ワンガリ・マータイ(1940-2011)
    ケニア出身の環境活動家、政治家。グリーンベルト運動の創始者として知られ、2003年よりケニア環境副大臣、2004年ノーベル平和賞受賞。2005年に来日した際「もったいない」という日本語に感銘を受け、3R+Respect (地球資源への尊敬の念)を表わす世界共通の言葉として「MOTTAINAI」を広める活動を展開した。

PETボトルは資源循環のよいビジネスモデル

 昔に比べればPETボトルを再生利用したトレイも増えましたし、今はもう一度ボトルにもなっています。。

小池 ボトルtoボトルですね。

 再生のための技術力も向上し、ボトルtoボトルで10%ぐらいは循環するようになりました。いわゆるSDGs(持続可能な開発目標)のデベロップメントのレベルが大分上がってきていますので、リサイクル製品の用途もさらに拡大すると思います。ですから、できるだけ分別収集していただいて、それを再生して持続する原料として使っていければと思います。

小池 以前から、PETボトルを再生して使うということで、私も随分、世界に宣伝をさせていただきました。例えば風呂敷をつくる際にPETボトルの再生繊維を活用したり、カーテンやじゅうたん、カーペットなどさまざまな形で使われていることを一所懸命に宣伝してまいりました。これからも、さらに素晴らしいリサイクルの、資源循環のよいビジネスモデルをつくっていただければと思います。

  • 持続可能な開発目標
    (Sustainable Development Goals:SDGs)
    2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2016年から2030年までの国際目標。持続可能な世界を実現するための17の目標と、さらに細分化された169のターゲットを設定している。リサイクルに関連する目標としては、「持続可能な生産消費形態の確保」などが掲げられている。

リサイクルを支えているのは市民の分別努力

小池 東京都としても、最大の消費地でありますし、分別収集についても都民の皆さんの意識が大変高くなっておりますので、それをさらに強力に進めたいと考えています。今は市区町村が回収の先頭に立っているわけですから、それぞれの自治体とも連携しながら進めていきたいと思っています。

 私どもも、都民の方々の努力で分別していただいて、その上でリサイクルが成り立っているというのは重要なことだと考えています。このことを忘れずに、PETボトルという資源を有効に使っていきたいと思っております。

小池 分別排出の浸透はすごいですよね。ミシン目が入っているところをピーッと取って、ラベルを外して、キャップはどうしたらいいかとか、皆さんよく知っていらっしゃる。

 はい。昔はこうはいかなかったですね。今はもう小さなお子さんでも分別できていますので。

小池 かえって、お子さんは学校で分別について学んだりするということもあって、親御さんに教えるのがお子さんの方だったりする。まさしく、大事なことはちゃんと次の世代へ伝わっているという証拠ではないかなと思います。

中田 そういう意味では、消費者の方々も、このことに関して真摯に一所懸命に取り組んでいただいていることはよくわかりますね。

小池 この国は意識が高いですよ、本当に。

 特に東京は高いですから。

小池 東京は高いです。ありがとうございます。

 これからも引き続きご指導、ご支援くださいますよう、よろしくお願いいたします。
 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

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